・ ページ7
・
今日からテスト週間か〜
まじ最悪！
そんなやり取りが教室内で飛び交う。
友達にもそう言われて、だね〜と合わせたけど、私は嬉しいことでもあった。
テスト週間は部活がなく、海斗の家に行って勉強するのが毎度のこと。
必ず会える行事なのだ。
それにテストが終わったら夏休み。
お互い忙しいけど、いつもより遠出の旅行とか行けちゃうんじゃないかなぁとかたまに妄想もしていた。
学校を出て少しした所のいつもの公園。
今日はベンチに座ってスマホゲームをしてる海斗。
『海斗、おまたせ。』
「んー、ちょっと待って。」
え？と思ったけど、ちょっと、というのは本当に少しで、スマホをすぐしまうとベンチから立ち上がった。
行こ、と何気なく1人歩き始めた彼の後をすぐ追う。
彼の手はいつもみたいに迎えてくれることなく、ポッケの中にはいっていた。
暑いし。
くっつきたくないよね。
手とか汗かくし。……うん。
気づけば自分のカバンを握りしめていた。
海斗の家につくと、自分の部屋に案内してくれた。
相変わらずお母さんと鉢合わせになるのが嫌らしくて、買い物に行ったと言ってた。
正しくは行かせた、なんだろうけど。
「飲み物、アイスコーヒーでいい？」
『うん、お願いします。』
海斗がいつも飲み物をだしてくれるんだけど、ちゃんとお言葉に甘えて頼んじゃってる。
その間に部屋を見るっていう特典付きだから、余計に、ね？
海斗の部屋はこだわってるけど、これといった変に目立つものは無い。
ギターとサイン付きのサッカーボールくらい。
男の子って部屋だから、最初は来る時に緊張してたけど、でももう慣れてきたのか、安心出来るくらいの心の余裕は生まれた。
「ごめん、コーヒーなくてジュースだけどいい？」
『全然いいよ。
なんなら最近ジュース飲んでないから嬉しい。』
「そっか。」
ミニテーブルに置かれたオレンジジュース。
甘い香りが漂う。
その香りとは裏腹に、海斗は早速勉強道具を机に出していた。
「早くやろうぜ。」
『…うん、そうだね。』
私は海斗の向かい側に座って、勉強道具を取り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜緒 | 作成日時：2022年4月30日 17時
