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海斗と喧嘩して、連絡も来なくなった日から2週間程経った。
学校は夏休みに入っていて、補習と部活の日々。
でも神様が意地悪したのか、学校で見かけることすらなかった。
今まで喧嘩したことは何回もあった。
でも2週間も続くのは初めてだ。
長い喧嘩をして気づいたことは、長引けば長引くほど謝りにくくなるということ。
海斗にごめんねって一言送るだけでも億劫で、トーク画面を開いては閉じて、通知を気にしてはやめて。
本当は夏休みだってどこか行きたかった。
海斗と久しぶりに恋人らしいこと、出来るんじゃないかって勝手に期待してた。
……でも違ったみたい。
まだ恋人でいたいって思ってたのは、わたしだけか。
そりゃあこんな一方的に想ってたら彼は嫌になるよね。
だって友達みたいな彼女がいいんだもん。
ごめんね、ロマンチックな妄想を勝手に抱いて。
スマホの電源を切ってしまおうと思ってスマホに手を伸ばした時、スマホが震えだして電話の音が鳴った。
『もしもし。』
「……海斗です。」
『うん、分かってる。』
「っあのさ
明日って、時間ある?」
『明日は……特に何も無い、けど。』
「良かった。
…Aと話したい。」
『……私、も。』
「明日10時でいい?」
『うん、いいよ。』
「家まで迎えに行く。」
『家?
……公園とかじゃダメ?』
「なら駅で。」
『分かった。』
「…じゃあな。」
ブチッと切れる電話。
少し息が切れるほど、心拍数が上がっていた。
話したいこと。
嫌な予感しかしない。
じゃあ駅集合っていうのは、明日は最後のデートってこと?
そんな優しさ、いらないよ。
明日が来て欲しくない。
ううん、やっぱり来て欲しい。
ちゃんと伝えよう。
海斗のこと、好きだってこと。
海斗が私の事、どう思ってるのか知りたいってこと。
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作者名:菜緒 | 作成日時:2022年4月30日 17時