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いつものファーストフードのお店でポテトとシェイクを頼んで道路沿いのカウンターに2人で座った。
お決まりの席。
喧嘩して仲直りした日も、照れくさかったあの日も、この席に座っていた。
でもこんな無言なこと、初めてだ。
「テストどうだった？」
『いつもよりいい点数とれたかな。』
「そっか。
俺また赤点スレスレだったよ。笑」
『そろそろ赤点取るんじゃない？』
「確かに…。」
言いたくもないのに、冷たい言葉がつらつらと出てくる。
どうやって会話してたんだっけ？
いつも通りに、いつも通りに……。
「そういえばあの映画見た？
前に行きたいって言ってたやつ。」
『うん、見たよ。』
「…そっか。
どうだった？」
『面白かったよ。
見る人によって違う視点があるんだなぁと思ったけど。』
「え、誰かと行ったの？」
『……うん。友達と。』
誰かと行ったこと、そんなに気になる？
海斗の顔は最初より明らかに曇っていて、マジか……と呟いている。
「…それ吉澤先輩でしょ。」
『え………。』
「この間話してるとこ、昇降口で見たんだよ。」
テスト最終日、確か海斗は部活だったはず。
だから部室に行ってご飯食べてるはずで……。
吉澤先輩と話すことが悪いことじゃないのに、罪悪感と驚きで息が詰まる。
初めて見る、悲しくて寂しい表情。
「俺らお互いに忙しいけどさ、秘密とかないと思ってた。」
『秘密って。
別に黙ってようと思ってたわけじゃないよ。』
「じゃあなんで友達とか言ってはぐらかすんだよ。
別に名前出しても俺怒んないよ。
逆に隠してる方が怪しい。」
『それは……。』
吉澤先輩のこと、友達だと思ってた。
でもこの間気づいた。
もしかしたら吉澤先輩から私へ向く気持ちは友達だけじゃないかもしれないって。
それで、私もその気持ちを当てにしていた。
不安やモヤモヤも、ここに来れば無くなるんだって逃げてた。
『…海斗だって、この間の勉強する約束、なしにしたじゃん。』
「それは予定があって……」
『クラスの女の子と話してたじゃん。
昨日買いに行ったよねって。』
「A、早とちりし過ぎ。」
『早とちり？
海斗もだよ。』
「は？俺が？」
『……もういいよ、今日帰るね。』
荷物を持って席を立った。
自動ドアが開いて熱風が吹いて身体を包む。
後ろから追いかけてくる声もしなくて、そのまま私は家に帰った。
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作者名：菜緒 | 作成日時：2022年4月30日 17時
