真夏の向日葵 (ページ17)

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特に何も買わずに映画館に入ったから、2人で見た後に近くのカフェに入った。

私はクロワッサンとコーヒーを頼んだ。
……パフェじゃないけど、甘いものが食べたくて。

「心配いらないと思うけどね、俺は。」

『え？』

「松倉のこと。
女の子といたのはそりゃ不安になると思うけど、信じてあげたら？」

『信じる、ですか…。』

海斗のこと、私は信じてあげてるのかな。
そう考えた時に真っ先に出た答え。

疑ってばっかで、信じてないかもしれない。

まだ確定もしてないし、何も聞いてないのに決めつけてるのは私なのだ。

「でもそれが難しいんだよな。」

『ですね。』

言葉にすれば簡単なことも、実際は難しい。
人間の心って、いかに複雑か。
恋愛をするとわかる気がする。

「あーあ、松倉何やってんだか。」

『本当ですよ！笑』

「気づいたら夏目も誰かに取られるかもしれないのにさ。」

『取られるほどの人になってみたいなぁ。
私奪われほど魅力ないので。笑』

「……マジかぁ。
でも自覚あるわけないよな。笑」

独り言のように下を向いて吉澤先輩はそう言った。

どういうことなんだろう。
……自覚？
取られることなんてきっとない。
海斗にポイ捨てされる可能性は今のところ大だけど。

それにそんなモテてたら、きっと心変わりして海斗とは付き合ってないだろう。
結局喧嘩しても、近くにいなくても、気づいたら傍に海斗がいる。

…そこに安心してた自分もいる。

『……あ、また愚痴言ってた。
すいません。』

「俺が話聞くって言ったし、別にいくらでも聞くよ？」

『……なんだか甘えたくなる。笑
やっぱり吉澤先輩はモテる男ですね。』

「…………え、俺が？」

『知りません？
後輩からモテてますよ〜。』

「夏目が言うなら嘘かもなぁ。」

『本当です！
なんで嘘になるんですか！笑』

バスケ部のイケメンなんて、モテないわけが無い。
それにこんな優しいし。
私が仲良いことも不思議なくらいだ。

……もし、吉澤先輩が彼氏だったら。
楽しいんだろうな、きっと。

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