真夏の向日葵 (ページ15)

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初夏の誘惑ページ15

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気づけばテスト最終日。
正午に終わった最終日は、みんなが足早に帰っていく。

カフェに行く！
ラーメン食べにいくよ
ゲーセンに行こーぜ

そんな声が聞こえてきて、羨ましかった。
誘おうと思ってた友達は既に午後から部活らしく、誘うことすら出来なかった。
土日に行こうって言ってもらったし、今日はその日の予定でも組もうかな。

スマホを見ても海斗からの連絡はない。
そりゃそうか、遊ぶ話すらしてないもん。

今、何してるのかも分からない。
多分友達と遊びに行くんだろうけど。

「夏目？」

聞き覚えのある声に顔を上げると、手を振ってこっちに向かう吉澤先輩がいた。

「今から帰る？」

『はい、フツーに家に帰ります。』

「普通にって。笑」

『友達も部活みたいなんで。
家で美味しいカップラーメンでも食べようかな。』

「…そっか。」

会話が一旦終わったのかなと思って廊下を歩きだすと、少し遅れて吉澤先輩も歩き出した。

階段を降りて昇降口を抜けると、外は日差しが強くて、ジリジリと暑さが襲ってくる。
蝉の鳴き声が響いていて、それだけで暑さが増してくるみたいだ。

『あっつい。』

「マジであちぃな。」

少し歩いて日陰に差し掛かったところで、吉澤先輩が私のカバンを掴んだ。
涼みたいのかなと思ったけど、どうやら違うみたいだった。

「手出して。」

『手？』

よく分からないけど、とりあえず片手を出してみる。
するとそこに1枚の紙が置かれた。

よく見ると、私が見たいと思っていた映画のチケットだった。

　