真夏の向日葵 (ページ12)

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『……はっ！』

週明けの月曜日、ロッカーに次の授業の教科書を取りに行ったのに、気付けば手が止まって口角が上がってる。
やばい、ただのヤバい人だ。
久しぶりに胸がキュンとしたから、心が浮ついている。

……彼氏がいてもキュンとしていいよね？
え、キュンくらいあり？？

『……あれ、ない…。』

そんなこんな考えて教科書を探すけど、どこにもない。
リュックの中にはなかったから、おそらく家で眠っているだろう。

『……借りに行きますか。』

隣のクラスを覗くと、丁度黒板のところでノートを回収してる海斗がいた。
今なら行ける、そう思って教室に1歩踏み出した時、向こう側から、要は教室にいた女子クラスメイトが海斗に話しかけた。

「松倉くん、この間はありがとう。」

「あぁ、全然。」

「この間買ったのさ、明日学校持ってくるでいい？」

「うん。
あ、バレバレなのはマジでやめて？」

「はいはい。
そんな心配しなくても分かってますよ〜。」

ニコニコして話している2人から、自然と1歩、また1歩と下がっていく。

約束断ったのって、そのものを買いに行くから？
女の子と？
バレバレにしないって何？？
2人で行かなきゃいけない秘密だったってこと？？

目の前で繰り広げられた会話がグルグルと頭を回る。
気づいたら私は海斗のロッカーから勝手に教科書を取り、自分のクラスに早歩きで戻っていた。

『……気のせい、気のせい。』

言葉にしないと心がどんどん沈んでいくだけで、とにかく時分で自分を励ましていた。

私は彼女のはずだから。

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