第百五話 ページ10
「二人とも〜、待ってよ〜！」
『あら、来ましたね』
「おー、伊作！こっちだ！」
「意外と遅かったな」
随分走ってきたようだけど、特に息切れなどは見られない。ただ……転んだ跡がいくつか見えるけど。
「二人ともAを見つけてすぐに走っていっちゃうんだから。探したんだよ？そりゃあ、僕より二人の方がナンパを追い払うのは向いてるだろうけど」
『文次郎なんて、隈までそのままですからねぇ。すぐわかりましたよ』
「うるせっ」
軽口を叩いてクスクス笑う。この感覚が懐かしい。学園では、良くも悪くも同じ学年のみんなだけが対等な関係でいられたから。
『それで、今日は何処に連れていってくれるんです？』
「まあ、テストも近いから午前中だけな。昼飯食べて解散だ」
『そうですね、そうしましょうか。本格的に遊ぶのは、テストの後ということで』
「Aの好きそうな植物園が近くにあるんだ。そこで歩きながらいろいろ話そうよ」
「伊作が張り切って探してたんだぜ。楽しみにしてろよ！」
ーーー
ーー
ー
「＿＿そうか、お前は４年の斉藤タカ丸と、５年の尾浜勘右衛門、久々知平助と会ったのか」
『ええ、尤も、５年の二人は体育祭の後ですが』
「あれを見たら誰だってAだと思うよ、きっと。戦う時の癖も、顔も、髪型も、全部昔のままだったから」
「実際、俺たちも一目で分かったわけだしな」
その言葉に答えることはなく、ただ、ふっと笑って見せた。美しく咲く紫陽花の道を通り抜けながら、何気ない会話をするかのように振る舞う。人も少ないし、誰に聞かれることもないだろうけど。こればかりは前世からの癖と言わざるを得ない。
『そちらは何人に会えました？あ、もちろん貴方たち以外で』
「……いや、誰とも会えてねぇな」
「そ、そもそも俺たちも高校でたまたま再会したんだ。そういうレベルの確率なんだろうよ」
『……本当に？』
「ほんとほんと！」
わざわざ念を押すように聞き返す。いや、どうにも違和感を感じるというか……私の気のせいでしょうか？
「あっ、勘右衛門たちは元気にしてた？」
『ええ、それはもう。つい先日鬼ごっこに参加してくれましたよ。貴方たちも知ってるかもしれませんね』
鬼ごっこ、なんて言い方をしたけど、実際のところは犯人をいやらしく追いかけ続けただけである。まあ言わなくても通じるだろうけど。
「相変わらずおっかねぇな」
『何のことやら』
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六時の虹(プロフ) - えだまめさん» 一気読みありがとうございます。本当に遅筆で申し訳ないです。更新を止めるつもりはないので、これからもよろしくお願いします！ (5月2日 21時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めっっっちゃくちゃ面白かったです！！！！一気読みしちゃいました…！！！！更新頑張ってください応援してます…！！！！！ (4月26日 18時) (レス) id: cf2c26d9bd (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - かすかすさん» 寛大な言葉に感激してます……。更新は書き溜めながら途切れないようにしていくつもりなので、よければ温かく見守ってください……！ (3月24日 4時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
かすかす(プロフ) - 久しぶりの更新...！ありがとうございまふ！！！この作品大好きなので、六時の虹様のペースでいいので、どうか更新をお願いします......！頑張ってください...！ (3月21日 23時) (レス) @page18 id: 215a8e1465 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 六時の虹さん» おふ、、、久々の更新だあ 好きです。もちろん六時の虹様のタイミングでよろしいんですよ これからもファイトです！ (1月22日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年10月15日 19時
