第百十六話 ページ22
同時刻、ヒーローサイド。芦戸は走りながらもAと交わした言葉を思い出していた。
“いいですか、これが最後ですよ。ここから、向こうに真っ直ぐです。なにがあっても真っ直ぐ進んでください”
‘え、でも、建物だらけなんですけど……？’
“はい、ですが三奈さんの個性がありますよね。壁を溶かして、建造物の中を突っ切ってください。下手に道の途中の障害物をどうにかしようとするよりよほど効率がいい”
‘校長先生にバレないかな……’
“そのための私です。陽動は任せてください。だからどうか、頼みましたよ”
自分たちを信じて託してくれた。誰よりも強くて賢い友達が。
‘うん、わかった！絶対みんなで、合宿行こうね！’
今、彼女は個性の多用で動けない。自分たちのためにそうする判断をとった。自分ができることはただ一つ、その期待に応えることのみ！
「待っててね、A！」
目の前にそびえ立つアーチ。その下を、全速力で二つの影が潜り抜ける。
鳴り響くアナウンスに、芦戸の口角は自然と上がっていた。
「ぃやったあぁぁあ！！」
「っしゃあ！合格だーー！！！」
ーーー
ーー
ー
一方、敵サイド。根津は試験場に轟いたそのアナウンスにただただ驚愕していた。
「まさか、捨て身の揺動だったとは思わなかったのさ……」
思わず溢れてしまったその声は風の音と共に消えていく。風に舞う花弁と風化していく大木を眺めることしかできなかった。
きっと彼女は、自分が警戒されていることを知っていた。自分に何を求められているのかも、薄々勘づいていたのだろう。それを意識しての結果かどうかはさておき、自分が出し抜かれたのは紛れもない事実だ。
穏やかな印象を与えるその容姿と振る舞いに隠したかなりの我の強さ。それを課題とした上での試験だったのだが、こんな無茶な作戦を他人に任せるという選択を取るとは思わなかった。いや、そう考えることを見透かされていたのだろう。
完全に読み負けたことに感嘆すら覚える。教師としては誇らしい限りだ。
「さて、彼女を迎えにいくとするのさ」
自分を欺いたあの女優に、どんな賛辞を送ろうか。密かにそう考えていた。
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六時の虹(プロフ) - えだまめさん» 一気読みありがとうございます。本当に遅筆で申し訳ないです。更新を止めるつもりはないので、これからもよろしくお願いします！ (5月2日 21時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めっっっちゃくちゃ面白かったです！！！！一気読みしちゃいました…！！！！更新頑張ってください応援してます…！！！！！ (4月26日 18時) (レス) id: cf2c26d9bd (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - かすかすさん» 寛大な言葉に感激してます……。更新は書き溜めながら途切れないようにしていくつもりなので、よければ温かく見守ってください……！ (3月24日 4時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
かすかす(プロフ) - 久しぶりの更新...！ありがとうございまふ！！！この作品大好きなので、六時の虹様のペースでいいので、どうか更新をお願いします......！頑張ってください...！ (3月21日 23時) (レス) @page18 id: 215a8e1465 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 六時の虹さん» おふ、、、久々の更新だあ 好きです。もちろん六時の虹様のタイミングでよろしいんですよ これからもファイトです！ (1月22日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年10月15日 19時
