第百十五話 ページ21
No side
「(さて、そろそろ時間も迫ってきてるけど……)」
特に目立った動きはない。もはや合格は諦めたか。
根津はそう考えていた。
実のところ、彼は相澤が会議で述べていた若藤Aの課題をさして問題視していなかった。冷静な判断を常に下せる人間は貴重だ。そういう人間が一人いるだけで、団体作戦のまとまり方は違う。しかしそれに限界があるのも事実。
なので今回の試験、今までのAの行動と同じでは合格の可能性は限りなく薄かった。……薄いはずだった。
根津がすっかりぬるくなった紅茶を一口含んだ時、突然殺風景な工場エリアに、それはそれは鮮やかな藤が舞った。
紅茶を飲む手が止まる。思わずその先を凝視する。場所は、今のAの現在地点からできる限りの最短距離で道なりにゴールを目指そうとすれば、避けては通れない場所だった。
「自棄でも起こしたかな？」
いくら邪魔でも、そんな考えなしに個性を使っていては持たないだろう。ひとまず、道は潰しておこうか。
そう思うが早いか、レバーを握ってクレーン車を巧みに操作する。大きく振られた錘が近くの煙突や建造物を破壊して、藤木の元へとドミノのように次々と連鎖する。負のピタゴラスイッチを見届けて一息つこうとした途端、またも藤色が目に入った。先ほどよりも大きかった。
再び操作レバーを握る前に、一つ、また一つと藤の大木が現れる。どれも根津が想定していたゴールへのルートの道のりであった。
「なるほど、撹乱か……」
悪くない。悪くはないが、
「いつまで持つか、見ものなのさ！」
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六時の虹(プロフ) - えだまめさん» 一気読みありがとうございます。本当に遅筆で申し訳ないです。更新を止めるつもりはないので、これからもよろしくお願いします！ (5月2日 21時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めっっっちゃくちゃ面白かったです！！！！一気読みしちゃいました…！！！！更新頑張ってください応援してます…！！！！！ (4月26日 18時) (レス) id: cf2c26d9bd (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - かすかすさん» 寛大な言葉に感激してます……。更新は書き溜めながら途切れないようにしていくつもりなので、よければ温かく見守ってください……！ (3月24日 4時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
かすかす(プロフ) - 久しぶりの更新...！ありがとうございまふ！！！この作品大好きなので、六時の虹様のペースでいいので、どうか更新をお願いします......！頑張ってください...！ (3月21日 23時) (レス) @page18 id: 215a8e1465 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 六時の虹さん» おふ、、、久々の更新だあ 好きです。もちろん六時の虹様のタイミングでよろしいんですよ これからもファイトです！ (1月22日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年10月15日 19時
