第百十三話 ページ19
試験も終盤に差し掛かる中、次々と合格者が現れる。それが余計に焦りを募らせるのか、私の目の前にいるお二人はひどく慌てた様子で取り乱していた。
「上鳴〜、電気で何とかならないの！？」
「荷物増やしてぇのか！？」
嗚呼、イライラする。そんな風に叫んだところで何も変わらないでしょうが。
「じゃあどーすんの！」
「そんなの俺が知りてーよ！」
喧嘩なんて最悪手だ、そんなこともわからないのか。
自分の営業スマイルも限界が近いのか、頬が引き攣り始めている。私が何かしようとすると常に校長からのアクションが入り、そのせいで慌てた彼らに遮られてしまう。マップ上には発芽させようとして散らばった種だらけだ。無駄に個性を消費しているだけである。
思い出してまた腹が立ってきた。彼らの喧騒が耳に入る。
『(あ、もう限界)』
そう思った時には腕が動いており、私のすぐ隣にあった鉄製の配管がペットボトルのように凹んでいた。
その音に驚いたのか、四つの眼がこちらを向く。
「え、A？」
「わ、若藤……さん……？」
『失礼、小蝿が喧しかったもので。そんなことはさておき、そろそろ私たちも合格しましょうか』
「で、でもどーすんだよ。今俺らどこにいるかも……」
『わかりますよ？』
今の時刻と太陽の位置。それに加えて、今まで移動してきた距離と方向はしっかり覚えている。多少大雑把になるとは言え、何もないよりマシだろう。
四方八方塞がっているこの状況だが、合格できない試験は存在しない。
隠れていた建物内から顔を出して、校長によって塞がれた道を指差した。
『三奈さん、個性はまだまだ使えますね？君たちは何があっても向こうへ真っ直ぐ走って下さい』
「え、Aは？」
『私は今から動けなくなるので』
「何で！？」
『限界突破するので』
今考えている作戦は、無茶苦茶極まりないしいつもの私なら絶対に取らないと断言できる。それでも今は余裕がない。この選択以外の最適解はない。
だから託すしかないのだ。
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六時の虹(プロフ) - えだまめさん» 一気読みありがとうございます。本当に遅筆で申し訳ないです。更新を止めるつもりはないので、これからもよろしくお願いします！ (5月2日 21時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めっっっちゃくちゃ面白かったです！！！！一気読みしちゃいました…！！！！更新頑張ってください応援してます…！！！！！ (4月26日 18時) (レス) id: cf2c26d9bd (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - かすかすさん» 寛大な言葉に感激してます……。更新は書き溜めながら途切れないようにしていくつもりなので、よければ温かく見守ってください……！ (3月24日 4時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
かすかす(プロフ) - 久しぶりの更新...！ありがとうございまふ！！！この作品大好きなので、六時の虹様のペースでいいので、どうか更新をお願いします......！頑張ってください...！ (3月21日 23時) (レス) @page18 id: 215a8e1465 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 六時の虹さん» おふ、、、久々の更新だあ 好きです。もちろん六時の虹様のタイミングでよろしいんですよ これからもファイトです！ (1月22日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年10月15日 19時
