第百八話 ページ13
テスト前の放課後。職員室の扉を軽くノックしてから、自分の名前を告げる。中の様子はかなり忙しそうなので聞こえているかは怪しいが、私はノックしたので。ガラ、と音を立てて開いた扉の先には担任の先生。
驚いたように目を見開く彼。やはり聞こえていなかったか。私は彼がいることは気配で気づいていましたけどね。にこりと愛想笑いを浮かべてみせた。
『失礼します、相澤先生。先日相談していた、訓練場をお借りしたいと言うお話なんですけど』
「……嗚呼、それなら許可が降りた。工業地帯だったな」
『ありがとうございます。個性を色々伸ばしたいと思っていたんです』
「道はわかるか」
道なんて、校内どころか近辺の地理を入学前に叩き込んでいる。わからないはずがないのだ。
流石にそう言えるはずもなく、お気遣いありがとうございます、と社交辞令じみた返答をしておいた。さて、念には念を。色々とシミュレーションしてみましょうか。
ーーー
ーー
ー
テストも迫り、教師陣各々が自分の仕事に取り組んでいる中で、相澤は一人パソコンを見つめていた。その肩に肘を置いて、彼の見つめる先を覗き込むようにやって来た男はプレゼント・マイクだ。
「よう、どうしたイレイザー！何見てんだ？」
「お前か……少し監視カメラをな」
「おぉ、映ってんの若藤じゃねーか」
画面には美しい藤色の長髪を揺らす若藤が映っていた。個性を使ってあちらこちらに登り、何かを確認するように見渡してはするりと降りる。猫のように自由気ままに動くその姿は確かに妙に印象的だが、合理主義の相澤が仕事の合間にわざわざ見るほどのものとは思えない。
「何してんだ？これ」
「使用届には個性の強化とだけ書いてあった」
率直な疑問をマイクが口にするが、担任の相澤もわからないのだ。彼がわかるはずもない。しばらくその様子を眺めていたが、何をしているのかはさっぱりだ。すぐに飽きたのか、自分のデスクに戻ってしまったが、相澤は神妙な顔をやめない。
「(これはまるで、マッピングをしてる様な……)」
しかし、雄英は訓練場でさえ広大だ。彼女はカメラもメモも何一つ持っていない。そんな馬鹿げた話があるだろうか。
ぶっ飛んだ仮説を頭から振り払い、パソコンを閉じる。画面の先で、Aがカメラに目を向けていることには全く気が付かなかった。
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六時の虹(プロフ) - えだまめさん» 一気読みありがとうございます。本当に遅筆で申し訳ないです。更新を止めるつもりはないので、これからもよろしくお願いします！ (5月2日 21時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めっっっちゃくちゃ面白かったです！！！！一気読みしちゃいました…！！！！更新頑張ってください応援してます…！！！！！ (4月26日 18時) (レス) id: cf2c26d9bd (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - かすかすさん» 寛大な言葉に感激してます……。更新は書き溜めながら途切れないようにしていくつもりなので、よければ温かく見守ってください……！ (3月24日 4時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
かすかす(プロフ) - 久しぶりの更新...！ありがとうございまふ！！！この作品大好きなので、六時の虹様のペースでいいので、どうか更新をお願いします......！頑張ってください...！ (3月21日 23時) (レス) @page18 id: 215a8e1465 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 六時の虹さん» おふ、、、久々の更新だあ 好きです。もちろん六時の虹様のタイミングでよろしいんですよ これからもファイトです！ (1月22日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年10月15日 19時
