第九十七話 ページ2
『ふっ、あはははっ、はは！』
「！」
「若藤さん……？」
思わず吹き出して、らしくなく、大口を開けて笑う。これが笑わずにいられるだろうか。
『嗚呼、可笑しい……！だって、そんな大真面目に責任を取るだなんて、ふふ、あはは！』
「そんなに可笑しいか……？」
『可笑しいですよ。轟くん、貴方本当に素直で真面目な子ですね』
一応、この世界では同い年のはず。それなのに、あの可愛らしい一年生たちを彷彿とさせてしまうのは何故なのか。私よりも上背のある彼が、どうにも大型犬のように見えてしまう。
ひとしきり笑って、姿勢を正す。彼の瞳を真正面から捉えて、いつもの笑みを携える。
『轟くん、勘違いしてもらっちゃ困ります。これは私の判断で、私がつくことを許した傷です。そこに貴方のミスは関わってない』
「でも、」
『それに、人を守ってついた傷跡なら、ヒーローにとっては勲章でしょう？』
とびっきりの営業スマイルと共に、彼らの好みそうな言葉を吐く。本音を言えば、そんな傷跡如きでぐちぐち後ろ向きになられても困る、といったところだ。
すると彼は、いや、彼ら三人は少しばかり目を見開いて、驚嘆の吐息をこぼした。轟くんに至っては、「おぉ……」とよくわからない感嘆詞付きである。
「若藤さん、何と言うか、こう……かっこいいね……！」
精一杯に言葉を選んだ結果、陳腐な言葉になってしまいました、と言うような褒め言葉だった。緑谷くんらしいと言えばらしいですが。
「君は、本当に強いな。Aくん」
『女性への褒め方は下手くそですね、お二人とも』
強い、かっこいい、なんて、一般の女性にはウケが悪いだろう。ヒーロー科の方々なら、また話は違うでしょうけど。
そこで、私の言葉を聞いてからずっと黙り込んでいた轟くんがようやく口を開く。
「若藤」
『はい？』
「お前、今の笑い方よりも、さっきみたいに思いっきり笑ってた方がいいと思うぞ」
『……』
「……？若藤？」
『……まあ、お二人よりは、お上手なんじゃないですか』
不意打ちをくらった、なんて、私のプライドが許せなかった。
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六時の虹(プロフ) - えだまめさん» 一気読みありがとうございます。本当に遅筆で申し訳ないです。更新を止めるつもりはないので、これからもよろしくお願いします！ (5月2日 21時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めっっっちゃくちゃ面白かったです！！！！一気読みしちゃいました…！！！！更新頑張ってください応援してます…！！！！！ (4月26日 18時) (レス) id: cf2c26d9bd (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - かすかすさん» 寛大な言葉に感激してます……。更新は書き溜めながら途切れないようにしていくつもりなので、よければ温かく見守ってください……！ (3月24日 4時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
かすかす(プロフ) - 久しぶりの更新...！ありがとうございまふ！！！この作品大好きなので、六時の虹様のペースでいいので、どうか更新をお願いします......！頑張ってください...！ (3月21日 23時) (レス) @page18 id: 215a8e1465 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 六時の虹さん» おふ、、、久々の更新だあ 好きです。もちろん六時の虹様のタイミングでよろしいんですよ これからもファイトです！ (1月22日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年10月15日 19時
