第九十三話 ページ47
ヒーロー殺し・ステインが気絶したのと同時に、どさりと音がした。傷の痛みと失血で気絶寸前のところを意地で踏ん張っていたAが、緊張感からの解放で気が抜けたのもあってか意識を失って崩れ落ちたのだ。受け身も取れずに倒れ込んだ衝撃で、血がさらに溢れてくる。
「若藤、若藤！」
「Aくん！」
「おい！救急車はまだか！！」
「今呼んでます！」
慌てる轟たちの感情が伝播していく。救急車は当然まだ来ない。
「傷口、これ、抑えていいのか……？」
「ちょ、ちょっと待って轟くん！」
「Aくん、しっかりしろ！もう少し耐えてくれ！」
慌てふためく彼らの元に、一人の影が、茶髪を揺らして駆け寄った。
「A！！」
優しげな目元には涙を浮かべて、他のヒーローたちを掻き分けて、必死になってやってきたその青年。あまりのことに、ヒーローたちも一瞬呆気に取られていたが、後一歩の所でヒーローに止められる。
「ちょっと君、避難指示出てるでしょ！早く逃げなさい！誰か避難誘導！」
「待って、待ってください！僕、治癒系の個性なんです！彼女の治療をさせてください！」
その言葉に周りがざわついた。
「お願いします……お願い、します……！絶対に治しますから、個性の使用を許可してください……！」
ヒーローたちが互いに目を合わせて、そらす。そしてその視線が一人の男に集結する。この場でその判断を託せるほどの人物など、一人しかいない。
「……認めるのは傷の治療だけだ。それ以外の行動を取ったと判断すれば、即座に取り押さえる」
それを聞いた彼の顔はぱあっと明るくなった。そして深々と礼をしてから、Aを支える轟の元へ行き、彼女の傷を診る。
「そのまま支えておいてください。誰か、刃物を持ってる人はいませんか」
「小さいナイフならあるが……」
すぐそばにいるヒーローがナイフを差し出し、青年がそれを受け取る。何に使うのかと轟が尋ねる前に、彼はAの腹に突き刺さるナイフをゆっくりと抜いた。
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六時の虹(プロフ) - 梅干しさん» コメントありがとうございます！伊作の他にもちゃんと忍たまキャラ出すので、これからもこの小説をよろしくお願いします！ (10月16日 8時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - ルククさん» ありがとうございます！伊作はここで出すと決めてたので、そういう反応はめっちゃ嬉しいです！ (10月16日 8時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し - 伊作先輩だぁぁぁぁ！！！！めっちゃうれしぃぃぃ、ほんとこの後の展開気になる！いつも素敵な作品ありがとうございます！ (10月9日 23時) (レス) id: 3545da5797 (このIDを非表示/違反報告)
ルクク(プロフ) - うわぁぁ！伊作が出てきたぁぁぁぁぁあ！！！！めっちゃくっちゃ気になります！楽しみです！頑張ってください！ (10月9日 8時) (レス) id: 9d9335310e (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - みずみずさん» ありがとうございます！更新は途切れがちですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします！夜更かしにはお気をつけて！ (10月5日 15時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年1月20日 22時
