第八十八話 ページ42
「感化されとりつくろおうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。
お前は私欲を優先させる贋物にしかならない！“英雄”を歪ませる社会のガンだ。誰かが正さねばならないんだ」
「時代錯誤の原理主義だ。飯田、人殺しの理屈に耳を貸すな」
「……いや、言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格など……ない。それでも、折れるわけにはいかない。
俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう」
「……論外」
＿＿来る。
そう直感したのは私だけではなかったようで、轟くんが炎で牽制。しかしやはりかわされる。
「馬鹿っ……！ヒーロー殺しの狙いは俺とその白アーマーだろ！応戦するより逃げた方がいいって！！」
『そんな隙、ありませんよ』
「恐らく若藤もアイツに狙われてます。ここで逃げれば間違いなく三人とも殺られる。それに、さっきから明らかに様相が変わった。奴も焦ってる」
その通りだ。血液型という不確定要素に加えて、個性発動には近接が必須。持続時間も短い。戦況が目に見えて不利なこの状況下であの男は、贋物のヒーローを殺すという執着心だけでこの場に留まっている。
「轟くん、温度の調整は可能なのか！？」
「
「俺の脚を凍らせてくれ！排気筒は塞がずにな！」
目の前で命懸けの戦闘が繰り広げられてるのに、動けない、何もできない。今の私はお荷物にすぎない。嗚呼クソ、足手纏いにだけはなりたくない。
ヒュンと風を切る音が鼓膜をわずかに震わせる。
異様なまでに殺気の乗ったそれの視認は先程よりもずっと簡単だった。咄嗟に手元の鉄扇を投げ、一直線に飛んでくるナイフの軌道を逸らす。
「Aくん、もう動かない方が……！」
『私のことはいい！』
肩で息をしながらも気合いで体を支え、もう一度飛んできたナイフを二つ目の鉄扇を投げて打ち落とす。手裏剣をはじめとした投擲には自信があったが、失血と痛みで眩暈すらしてくる中でこうもコントロールが効くとは。火事場の馬鹿力でしょうか。
しかしその代償か、視界が歪んで足元が覚束なくなる。傷口を抑えた手を這う血液は生温かく真新しい。
「邪魔をするな！」
三度飛んできたナイフ。まだあるのか。
『(急所を避ければ、いや失血で失神、最悪死ぬ……！)』
いくら頭の中で叱咤しても身体の重さは変わらない。眼前に迫るナイフに覚悟を決めたが、想定していた痛みは来ない。
「ッ、」
『飯田くん……』
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六時の虹(プロフ) - 梅干しさん» コメントありがとうございます！伊作の他にもちゃんと忍たまキャラ出すので、これからもこの小説をよろしくお願いします！ (10月16日 8時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - ルククさん» ありがとうございます！伊作はここで出すと決めてたので、そういう反応はめっちゃ嬉しいです！ (10月16日 8時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し - 伊作先輩だぁぁぁぁ！！！！めっちゃうれしぃぃぃ、ほんとこの後の展開気になる！いつも素敵な作品ありがとうございます！ (10月9日 23時) (レス) id: 3545da5797 (このIDを非表示/違反報告)
ルクク(プロフ) - うわぁぁ！伊作が出てきたぁぁぁぁぁあ！！！！めっちゃくっちゃ気になります！楽しみです！頑張ってください！ (10月9日 8時) (レス) id: 9d9335310e (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - みずみずさん» ありがとうございます！更新は途切れがちですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします！夜更かしにはお気をつけて！ (10月5日 15時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年1月20日 22時
