第八十二話 ページ36
三日目。今の時間帯は日の入りの少し前といった所だろうか。今日も今日とて何も起こらず、いまいち気の入らない状態だ。これではいけないと気合を入れ直す。油断した時こそ何かが起こる。よくないことは大抵、そういう時に現れるものだから。
「一度夕飯を食べに行きましょうか。その後で夜のパトロールを、」
その時、私の前を歩いていたシナ先生の言葉を一蹴するような声が表通りから響いてきた。それが人の悲鳴であると脳が認識したと同時に、弾かれるようにシナ先生が駆け出す。
急いでその後を追った私が見たのは、言葉を絶するような惨状だった。
『脳無……！？』
どうしてここに！？……いや、如何して、なんて疑問は後から考えるべきだ。今はそんなことよりもやるべきことがあるだろう。
「……雄英に進入した敵の一人ね。紫藤ちゃん、一般人の避難誘導を任せたわ！」
『ッ、はい！』
シナ先生が一般人に襲いかかる脳無の元へと駆けていく。
自分のやるべきことを順序立てて思考を整理している時、スマートフォンが振動する。メッセージアプリの通知の音だ。こんな時に何だって言うんです！
自然と目に入った画面は、緑谷くんからのある位置情報。私のいる場所からそう遠くない場所だ。そこで一気に脳が回転する。
『(彼の性格上、意味のないことをするとは考えにくい。保須市の裏路地の位置情報。今彼のスマートフォンがそこにあることを示すメッセージ……まさか、SOS？)』
行くべきか、行かずに安全な道を取るか。
私が行く必要はない、確証もない。私には彼らを守るほどの理由はない。
いや、でも、
『(ここで行かないと、あの子達の先輩を名乗れない)』
どんな時だって、後輩の追いかけるべき先輩の背中を示すのが私だ。今の私は忍者じゃない。多少の我を通したって許される。
『……シナ先生、すみません！』
「紫藤ちゃん！？」
『江向通り、4-2-10の細道に行きます！もし手が空いたらそこまで来てください！』
どうか間に合えと願いながら、足に力を込めて走り出した。
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六時の虹(プロフ) - 梅干しさん» コメントありがとうございます！伊作の他にもちゃんと忍たまキャラ出すので、これからもこの小説をよろしくお願いします！ (10月16日 8時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - ルククさん» ありがとうございます！伊作はここで出すと決めてたので、そういう反応はめっちゃ嬉しいです！ (10月16日 8時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し - 伊作先輩だぁぁぁぁ！！！！めっちゃうれしぃぃぃ、ほんとこの後の展開気になる！いつも素敵な作品ありがとうございます！ (10月9日 23時) (レス) id: 3545da5797 (このIDを非表示/違反報告)
ルクク(プロフ) - うわぁぁ！伊作が出てきたぁぁぁぁぁあ！！！！めっちゃくっちゃ気になります！楽しみです！頑張ってください！ (10月9日 8時) (レス) id: 9d9335310e (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - みずみずさん» ありがとうございます！更新は途切れがちですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします！夜更かしにはお気をつけて！ (10月5日 15時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年1月20日 22時
