第六十四話 ページ18
no side
ミッドナイトの声が試合終了を告げる。不思議なことに、彼女が離れた途端に大木は花を散らして枯れ、見る見るうちに風化して消えて行った。
カメラが、視線が、スポットライトの中にいる主役のように美しく佇む彼女に集まる。
穏やかな微笑を浮かべて、深く深く一礼をする。あまりにも完成された所作とヒーロー然とした美しいその姿は、鮮烈に観客たちの瞳に焼き付いて離れなかった。
ーー
ー
ボンと音を立てていくつかの花火が打ち上がる。空は私の心中を表すかのように晴々としていて、快晴の一言に尽きる。何とも爽やかではないか。
『(隣がこの調子じゃなければの話なんですけどね……)』
口枷手枷に拘束ベルト。一通りの拘束具をつけているのではないかと思うほどの有様。誰のことを指しているのか、言わずともわかる。爆豪くんである。
変に噛み付かれるのも嫌で、ひたすらに目を逸らしていた。猛獣との不意の遭遇への対処法はまず目を離さずに刺激しないことだが、今の彼には視線ですら刺激になりそうだ。
会場もドン引き。当然と言えば当然の話だけど。
「メダル授与よ！今年のメダルを贈呈するのはもちろんこの人！」
ミッドナイト先生の声を合図に、観客席の更に上からその人が舞い降りてきた。盛大に台詞は被っていた。打ち合わせくらいしておけばいいのに、なんとも締まらない。
オールマイトは次々に受賞者に言葉とメダルをかけていく。爆豪くんはまあ、うん、お察しということで。
「若藤少女、伏線回収見事だったな！君は立ち居振る舞い含めて、今日のトップだ！おめでとう！」
『ありがとうございます、オールマイト。ですが、私の結果が素晴らしいものだとしたら、それは私の周りにいた友人や先生方のお蔭でもあります。私一人で出せた結果では決してありません』
如何にもヒーローが好むお綺麗な言葉を、万人受けする笑顔で飾りつける。誰のことでいつのことか、私は明言していないけど、勝手に補完して勘違いしてくれるだろう。心の綺麗な人は話を前向きな方に捉えてくれる。こういう言い回しに身構えるのは、私の様な捻くれ者だけだ。
現に目の前のこの人も、見事に私の言葉をそういう風に捉えてくれたらしい。
「ハッハッハ！そうかそうか！私も、先生方も、君の今後を楽しみにしているよ」
ありがとうございます、と再び笑顔を取り繕った。誰も彼も簡単に騙されてくれる。この笑顔も、言い回しも、前世からよく使っていた手法だから。
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六時の虹(プロフ) - 梅干しさん» コメントありがとうございます！伊作の他にもちゃんと忍たまキャラ出すので、これからもこの小説をよろしくお願いします！ (10月16日 8時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - ルククさん» ありがとうございます！伊作はここで出すと決めてたので、そういう反応はめっちゃ嬉しいです！ (10月16日 8時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し - 伊作先輩だぁぁぁぁ！！！！めっちゃうれしぃぃぃ、ほんとこの後の展開気になる！いつも素敵な作品ありがとうございます！ (10月9日 23時) (レス) id: 3545da5797 (このIDを非表示/違反報告)
ルクク(プロフ) - うわぁぁ！伊作が出てきたぁぁぁぁぁあ！！！！めっちゃくっちゃ気になります！楽しみです！頑張ってください！ (10月9日 8時) (レス) id: 9d9335310e (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - みずみずさん» ありがとうございます！更新は途切れがちですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします！夜更かしにはお気をつけて！ (10月5日 15時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年1月20日 22時
