第六十二話 ページ16
『人生、不平不満を抱えず清く正しく生きるなんて無理です。断言します。どんな聖人君子でもいつか爆発する時が来る。
そういう点で言えば、あの件は人間として生きてる以上は何時でも起こり得たってことです。子供の癇癪に目くじら立てて怒るほど私の器は小さくありません』
そもそも、引き摺るほどに不愉快だったらとっくに倍返しにしてますよ。とこっそり心の中で付け加えて、表面上は人の良さそうな笑みを浮かべる。
少し喋りすぎたかもしれない。きっと柄にもなく緊張している所為だ。
「……若藤も、」
『はい？』
「若藤にも、そんなことがあるのか」
彼の目が、真っ直ぐにこちらを射抜いてくる。少し驚いたように見開かれた灰と緑の瞳が、何故か途轍もなく恐ろしく感じる。
人にこうして見られるのは、やっぱり苦手だ。他人に踏み込まれるのも好きじゃない。呼吸すら出来ないと錯覚するほどの緊張感だ。本当に、私は合わないことにはとことん不向きらしい。
今すぐにこの場から逃げ出したい。
『……さあ、どうでしょう。もういいですか。私も控え室に行かなければ』
「っ、悪い」
まるで硝子細工を扱う様に、ゆっくりと手を離す轟くん。それを確認してから、彼に背を向ける。
完全に私に非があるとは言え、いらない会話をして心を乱されてしまった。控え室で一度瞑想をしたい。
「……今日は、俺が勝つ」
彼の言葉に、私が何かを返すことはなかった。
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六時の虹(プロフ) - 梅干しさん» コメントありがとうございます！伊作の他にもちゃんと忍たまキャラ出すので、これからもこの小説をよろしくお願いします！ (10月16日 8時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - ルククさん» ありがとうございます！伊作はここで出すと決めてたので、そういう反応はめっちゃ嬉しいです！ (10月16日 8時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し - 伊作先輩だぁぁぁぁ！！！！めっちゃうれしぃぃぃ、ほんとこの後の展開気になる！いつも素敵な作品ありがとうございます！ (10月9日 23時) (レス) id: 3545da5797 (このIDを非表示/違反報告)
ルクク(プロフ) - うわぁぁ！伊作が出てきたぁぁぁぁぁあ！！！！めっちゃくっちゃ気になります！楽しみです！頑張ってください！ (10月9日 8時) (レス) id: 9d9335310e (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - みずみずさん» ありがとうございます！更新は途切れがちですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします！夜更かしにはお気をつけて！ (10月5日 15時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六時の虹 | 作成日時：2023年1月20日 22時
