い ち に ち 彼 氏 ＿＿ 好きになっちゃダメな人。

…自宅拝見？ ページ8

涼「俺が運転する」


「え？」


涼「彼女に運転させるなんてやだ」



私はマネージャーだから、
運転をする側。



だけど、

今日は特別。



「じゃあ、お言葉に甘えて」


涼「ん」



ハンドルを掴む彼の横顔は
とても整っていて、
じっと眺めてしまう。



涼「…俺の顔に何か付いてる？」


「う、ううんっ。

かっこいいなぁって思って」


涼「何いきなり。

照れるからやめろ」




顔を赤らめながらもポーカーフェイスを保とうとする彼を見れるのも


今日が、最後。




この特等席に座っているのは

現実でも何でもない “ 願い事 ” に過ぎないのだから。





山田さんの運転する車に揺られながら、

そんなことをしんみりと考えていた。




涼「A？」


赤信号で車が止まって

名前を呼ばれ、顔を上げると


心配そうに眉を寄せる山田さんの顔が。



涼「どーしたの」


「なんでもないよ…」


涼「…何かあったら言えよ？」


「…うん」



きっと

気遣ってくれたんだと思う。



やっぱり山田さんは
優しい。

…手料理。→←…凄い人。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す