Last Lemon ページ49
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「平塚くん」
「あ、こんにちは」
Aちゃんのお墓参りに来ていたら、
後ろから名前を呼ばれて。
振り返ると、Aちゃんのお父さんとお母さんがいた。
「...Aに伝わってるかな」
「え？」
「手紙に書かれていた、私たちに対しての質問の答え」
Aちゃんのお母さんはそう言うと、
"仏壇にA宛の手紙を置いたの"と
少しだけ寂しそうに言った。
「きっと伝わってますよ」
「...あの時、手紙を届けてくれてありがとう」
"平塚くんのおかげだよ"なんて
お父さんは俺に頭を下げてきた。
「...俺と、あじにも手紙書いてたんですよ」
「え？」
「..."私なんかを好きになってくれてありがとう"って俺の手紙に書いてあったんです」
「...」
「Aちゃんと、もっと早く出会いたかった」
もっとAちゃんと話したかったし、
いろんなところにも出掛けたかった。
...それでも、あの短い期間でいろいろな
Aちゃんとの楽しい思い出があるのは
きっと、Aちゃんとだったから。
「Aちゃんのこと産んでくれてありがとうございました」
「平塚くん...」
「それじゃ、また来ますね」
二人に頭を下げて、家に帰る途中。
自販機で買ったレモンティーを飲みながら
思い出すのは、Aちゃんとの初めてのキスで。
「...またレモンティーって笑ってる？」
君との初めてのキスは、
"涙"と"レモンティー"が混じった
不思議な味でした。
Fin.
終わり
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月20日 19時
