Lemon 45 ページ45
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《あ、Aちゃん起きた？今朝ご飯持ってくるね》
目を覚ますと、病室に平塚くんの姿はなくて。
居たのは看護師のお姉さんだった。
「......聞きたくないな、平塚先生の話」
どうせ良くない話なのは分かってるから。
そんなの、一人で聞きたくない。
...でも、一人で聞く選択肢しかないんだよね。
《はい、朝ご飯！食べられる分だけでいいからね》
きっと、今日私が話をされる内容を知ってるからか
お姉さんはいつも以上に明るく話しかけてきて。
...やだ、私そんな強くないもん。
《Aちゃん？》
朝ご飯を食べようとしない私を、
お姉さんは心配して私のそばまで来ると、
"ちょっと外の空気、吸いに行く？"と聞いてきた。
「...いいの？」
《平塚先生に確認してみるね、ちょっとだけ待ってて！》
お姉さんはそう言うと、パタパタと
急ぎ足で病室から出て行った。
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《Aちゃんごめんね...許可出なかった》
少しの間でも外に出たらいけないの？
...もう、そんなの話聞かなくても
自分の心臓が今どういう状態なのか分かるよ。
「......大丈夫！わたし、ご飯食べるね」
《Aちゃん...》
「当たり前だよね、昨日発作起きたばっかりだし」
いつもなら、前日とかに発作が起きても
車椅子を使えば少しなら外に出る許可を
出してくれていた平塚先生。
でも、今回それがダメってことはもう、
そういうことじゃん。
「Aちゃんごめんね」
お姉さんの心配する視線なんて気にせずに、
朝ごはんを食べ続けていたら、
平塚先生が病室に入ってきた。
「大丈夫です」
「...Aちゃん、翔馬から聞いた？」
「今日、先生から話があるってことですよね」
「うん、でも今日ご両親来れないみたいで...」
「大丈夫です、私ひとりで聞けるので」
ここでワガママを言ったら、
平塚先生のこともお姉さんのことも
困らせちゃうから。
...ワガママは、自分の心の中に止めておけばいい。
そうすれば、誰も傷つかないで済むから。
「ね、Aちゃん」
「ほんとに、大丈夫ですひとりで」
なんとなく平塚先生が言おうとしてることは分かった。
...でも、そんなに平塚くんを振り回したくないから。
あんな時間に起きてて、疲れてないわけないもん。
「...分かった。じゃあ10時くらいに来るね」
先生はそう言うと、お姉さんを連れて
病室から出て行った。
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月20日 19時
