Lemon Tea. (ページ42)

今日:15 hit、昨日:12 hit、合計:138,075 hit

Lemon 42 ページ42

.

夕方、病室の扉が開いて

平塚くんかなと思えばそこには

平塚くんではなくてひでくんの姿があった。

「...ひらつ、今日はちょっと会えないって」

「...」

「Aのこと見ると、泣いちゃうんだって」

ひでくんはそう言うと、私の側まで来て

ポン、と頭に手を置いた。

「ひらつのこと信じたから、全部話したんでしょ？」

ひでくんの言葉に頷けば、

"怖かった？"なんて聞いてきて。

「...こわ、かった...っ...」

「ん、大丈夫。よくがんばったね」

「...ひでく...っ...わたし...っ...」

「ほら泣かない泣かない。大丈夫！明日にはいつもの平塚が来てくれるから。...ひらつにもさ、少しだけ時間あげてくんない？」

私の顔を覗き込んでそう言うひでくんに頷けば、

ひでくんは"いい子、いい子"なんて頭を撫でてきて。

「あ、くろちゃんと如月こないだの夏祭りで"友達"になったんだって」

「...友達？」

「うん、まずは友達からなんだって」

"二人らしいよね"なんて笑ってるひでくんは

少しだけ寂しそうで。

「...ね、ひでくん」

「やめて」

「え？」

「...俺、いまAのこと"ただの幼なじみ"って思えるように頑張ってる期間なの」

「...」

「だから、いま俺に言おうとしたことは心の中に止めといて？」

ひでくんはそう言うと、私の頭を撫でてから

"じゃあ帰るね"と病室から出て行ってしまった。

.