Lemon 32 ページ32
.
Shoma.
突然俺の手を離して、列から抜けてしまった
Aちゃんを急いで追いかけても、
この人混みの中じゃ到底見つけることなんてできなくて。
「あれ、ひらつ？」
とりあえず人混みから逸れて、
Aちゃんに電話をかけようとしたら
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、あじ！ねぇ、Aちゃん見てない？」
「A？見てないけど...なに、ハグれたの？」
俺に声をかけてきたのは、
部活のメンツと一緒に夏祭りに来ていたあじで。
「違う、ずっと手繋いでたもん。フランクフルトの列並んでたら急にお手洗い行くなんて言って手離しちゃって。...多分お手洗い行くなんて嘘なんだよ」
「...ね、ひらつフランクフルト食べたいってAに言ってた？」
「え？いや、言ってないけど...」
別にフランクフルトなんて本当は食べる気なかった。
でも、食べたかったフライドポテトも焼きそばも
通り過ぎちゃってたから、たまたま近くにあった
フランクフルトに並ぶことにしただけで。
「なに食べたいって言ってたの？」
「...フライドポテトと焼きそば」
「じゃあどっちか買いに行ったのかも」
「え？なんでそんなこと...」
「Aってね、そういうことに敏感なの。俺もAのこと見つけたら捕まえとくから、とりあえずひらつはどっちかのお店に向かって？」
「あじ、ありがとう」
あじに一言お礼を言って、さっきよりも増えてる
人混みの中にまた入って、かき分けながら
先に見つけた焼きそばのお店の列を見てみても
Aちゃんらしき姿はそこにはなかった。
「連絡もきてないし...」
とりあえず焼きそばの列にいないなら、
フライドポテトのお店に行く選択しかない。
...お願いだから、列に並んでて...。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月20日 19時
