Lemon 27 ページ27
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家の前まで送ってくれたくろちゃんに
お礼を言ってから、家の中に入ると
ちょうどパパがリビングから出てきた。
「あぁ、おかえり」
「...パパもおかえり」
「ご飯はもう食べたのか？」
あ、そういえばご飯食べてないや。
いろいろあってすっかり忘れてたけど、
お腹も空いてないし別にいいかな。
...平塚くんとくろちゃんきっとお腹空いてたよね。
悪いことしちゃったな...あとで謝っておこう。
「お腹空いてないから大丈夫」
「...なぁA」
「なに？」
部屋に行こうと、階段に足をかけた時
パパに呼び止められて振り返れば、
なんだか複雑そうな顔をしていて。
...その瞬間、今日優里奈と買いに行った
浴衣が脳裏に浮かんで、急いで部屋に行けば
そこにはビリビリに切られた浴衣が落ちていた。
「......う、そ...」
どうして？前まではこんなことまでしなかったのに。
前までは、口を聞いたりしなかっただけで
こんな嫌がらせみたいなことはしなかったのに、
なんで急にこんなことするの？
「ごめん、パパのせいなんだ」
「え？」
私が部屋の前で立ち尽くしていると、
後ろからパパがそんなことを言ってきて。
「...パパがAに料理を作ったことを話したから」
「え、どういうこと」
「ママはパパとAが仲良くすることをよく思ってない。だから今までパパはAと必要最低限の会話しかしてこなかった。でもあの日ママに聞かれたんだ、"何か作ったの？"って」
「...それで、話したの？」
「あぁ。...嬉しかったんだ、久しぶりにAとご飯を食べれて。でもすぐにやってしまったことに気付いたよ」
そもそも、どうしてママは私とパパが
仲良くすることをよく思ってないんだろう。
...私のことが嫌いだから？
パパのことは大好きで、そんなパパが
私と仲良くしてるのが嫌だから？
...そんなの小学生と同じじゃん。
「浴衣、パパが新しいの買ってくるから」
「......いいよ、別に」
「え？」
「いらない浴衣なんて。どうせまた見つかったら、こんな風にビリビリにされるもん」
...浴衣着て、好きな人と夏祭り行くことが
そんなにいけないの？
ちゃんと浴衣、隠しておけばよかった。
平塚くんと約束したのに。
...ごめんね、平塚くん。
私、夏祭りに浴衣着て行けないや。
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月20日 19時
