Lemon 15 ページ15
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「あれ、星宮じゃん」
あの後、ひでくんより先に公園を出たものの
そのまま帰る気にもならず適当に歩いてたら、
前からさっきまで聞いてた声がした。
「くろちゃん...」
「どした？何かあった？」
顔を上げた時に私の目が赤くなってることに
気付いたのかくろちゃんは、私のそばまで来ると
俯いてる私の顔を覗き込んできた。
「...さっきまでの星宮どこ行っちゃったの？」
「うるさいくろちゃん」
「ごめんごめん。...待って、俺当てていい？」
くろちゃんは突然そんなことを言うと、
"とりあえず顔上げて？"なんて言ってきて。
「...もー、こんな顔平塚が見たら平塚泣いちゃうよ」
「...なんで平塚くん？」
「あ、ごめん。こっちの話だから気にしないで」
くろちゃんはそう言うと、"あじでしょ？"と
私にスマホの画面を見せながら言ってきた。
「...ま、星宮があじのこと幼馴染みとしか思ってないのは分かってたけどね」
「...くろちゃんは知ってたの？」
「俺も平塚も知ってるよ。今頃、あじ平塚にも連絡してんじゃない？」
くろちゃんはそう言いながら、
"あとで返せばいいや"なんてスマホを
ズボンのポッケにしまっていて。
「星宮、あじに悪いなとか思ってる？」
くろちゃんの言葉に頷けば、
"それは違うよ星宮"なんて
真面目な顔で言ってきた。
「星宮さ、この世にどれだけの人がいると思ってんの？両思いになることの方が珍しいんだよ」
「うん...？」
「あじが星宮のこと好きになったことも、星宮があのことを幼馴染みとしか思ってないのも、別に悪いことじゃない。もちろん、星宮があじを振ったこともね」
「何が言いたいの？くろちゃん」
「だから！星宮は何も気にせず、今まで通りあじと接すればいいってこと！これで気まずくなった方があじ可哀想じゃん」
くろちゃんの言ってることはその通りだった。
気まずくてひでくんのこと公園に置いてきちゃったけど、
あの私の行動でもひでくんは傷ついたかもしれないし。
「...くろちゃんありがとう！」
「え、俺感謝されること言った？」
「うん！私、ひでくんのとこ行ってくるね」
「よく分かんないけど、星宮がいつもの星宮に戻ったなら何より。...お前は笑ってた方がいいよ」
くろちゃんはそう言うと、
私の頭をポンポンと優しく叩いてきた。
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月20日 19時
