Lemon 11 ページ11
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「え、Aちゃんのお弁当美味しそう！」
次の日の補習は夕方まであるから、
お昼持参で。
適当にお弁当を作って持って行けば、
平塚くんは目を輝かせていた。
「あ、そっか。平塚、初めて見るもんね」
「えー、一口ちょうだい！」
同じクラスのくろちゃんは、
たまに一緒にお昼を食べることもあったから
そんなに驚かないけど平塚くんは興奮してて。
「卵焼きでもいい？」
「全然いい！」
「はい、どーぞ」
箸で卵焼きをつまんで、平塚くんの手に渡せば
くろちゃんが"そこはアーンだろ！"って言うけど
本人は気にもせずモグモグと口を動かしていて。
「くろちゃんって恋愛の理想高そう」
「え、だから彼女できないのかな」
「昨日友達から聞いて知ったんだけど、三人とも女子から人気なんだってね？全然知らなかったよ」
私がそう言えば、くろちゃんも平塚くんも
"あー..."と顔を見合わせて。
...あれ、あんま喜んでない感じ？
「勝手に騒いでるだけだよ」
平塚くんはそう言うと、
"ね、もう一個ちょうだい！"なんて
すぐに話を変えてしまって。
「私の分がなくなっちゃうよ」
「じゃあ俺のフルーツサンドあげるから！」
「...いちごがいい」
「え！俺もいちご好きなんだけど...」
「いやそこは譲れよ！」
まぁ誰にだってあんま触れられたくない話題はあるし、
さっきの感じからしてこの話題は二人にとって、
それに当てはまるんだと察したから
それ以降私からその話題を出すことはなかった。
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月20日 19時
