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佳奈ちゃんもその場からいなくなって、
湧ちゃんと二人きりになってしまった。
グラウンドには何人も生徒がいるのに
なんだか二人しかいないような感覚がして。
...そんなわけないのにね。
「保健室、行くぞ」
湧ちゃんがそう言っても動こうとしない私を見て、
湧ちゃんは"ごめん"と呟くと、私のことを抱き抱えた。
「......かなちゃん」
「大丈夫。佳奈は独占欲なんて強くないから」
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保健室に行けば、養護の先生がすぐに
ベッドに寝かせるよう湧ちゃんに言ってくれた。
「...じゃあ後はお願いします」
湧ちゃんは養護の先生にそう言うと、
すぐにグラウンドに戻ってしまって。
「これ書ける？」
「...かけます」
養護の先生から紙を受け取って、
書いてると勢いよく保健室の扉が開いた。
「扉は静かに開けましょうね？」
「あ、ごめんなさい...」
カーテンが閉まってたから誰か分からなかったけど
先生との会話を聞いて、それが颯ちゃんだってことは
すぐに分かった。
「あの、平塚先輩いますか？」
「えぇ、奥のベッドにいるわよ」
先生がそう言った後、カーテンが開いて
泣きそうな顔をした颯ちゃんが立っていた。
「...なんで泣きそうなの」
「いやだって...」
「ちょっと頭痛が酷いだけ。保健室来たからもう大丈夫だよ」
「...まぁじ焦った、しゃがんでるんだもんA」
「知ってたの？私がしゃがんでたの」
「うん、ちょうどリレーの走者の話し合いしてたから抜けれなかったんだけど...」
"行けなくてごめんね"なんて、
颯ちゃんは私の頭を優しく撫でてきた。
「...じゃあおれ、行くね？まだ練習残ってるからバレたら怒られる！ひらつかに会ったら伝えとくから」
「ん、ありがとね颯ちゃん」
颯ちゃんはそう言うと、カーテンを閉めて
今度は静かに扉を閉めて行った。
......私もそろそろ答え出さないとね。
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月16日 21時
