君の隣。 (ページ2)

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夜、お風呂から上がってアイスを片手に部屋に戻ると

そこには当たり前のようにベッドに寝転んで

漫画を読んでる一つ年下の幼馴染みの颯ちゃんと

カーペットの上に寝転がってクッションを

ボールの様に扱ってるお兄ちゃんがいた。

「アイス、一口ちょーだい」

「...はい」

颯ちゃんの口にアイスを突っ込めば、

"わくとはどーなの？"なんてモグモグしながらも

漫画から視線を逸らさずに聞いてきた颯ちゃんに

"知らない、話してない"なんて無愛想に言うと、

お兄ちゃんは起き上がって静かに私の頭を撫でてきた。

「だから早くおれのこと好きになればいいんだってぇ」

「そんなこと言われても、Aが好きなのは湧だもんねー？」

颯ちゃんの言葉に私がピクっと反応すると、

それに気付いたお兄ちゃんが私の肩に腕を回して

そう言えば、颯ちゃんは"まぁねー"なんて笑っていて。

「ま、おれはずーっとAのこと好きだからね」

「...」

「ほんとーに辛くなったら、おれのとこおいで」

「颯ちゃんのこと利用してるみたいでやだ」

湧ちゃんのこと好きでいるのが辛くなったから、

自分のこと好きでいてくれてる颯ちゃんに逃げるなんて

そんなの颯ちゃんに悪すぎるもん。

...同じこと、私が湧ちゃんにされたら嫌だし。

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「自分が楽になる道選んでも、バチは当たらないと思うよ？」

颯ちゃんが帰った後、さっき颯ちゃんが読んでた漫画を

パラパラと捲りながら、こっちを見ようともしないで

お兄ちゃんはそんなことを言ってきた。

「同じこと湧ちゃんにされたら嫌だもん」

「でも、うっちーは"おいで"って言ってるんだよ？」

「だとしても、颯ちゃんを利用したくない」

「...ほんと、Aってバカだね」

お兄ちゃんは漫画を閉じると、

立ち上がってそれを本棚に片してから

"我慢しすぎないようにね"なんて一言言って、

部屋から出て行った。

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