すべての闘う人へ【TOKYO MER２】

#06 ページ29

「心室細動！70セット！」
「はい！……セットできました！」
「離れて！」

結衣の身体が跳ねる。
すぐに音羽が心臓マッサージを再開する。

「結衣！」
蓮は涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら呼び続ける。



「結衣ちゃん……！生きろ……！戻ってこい！

……お兄ちゃんに……もう1回会おう！」



音羽がそう呼びかけた時。





「反応あり！」





「結衣！！」

「よく頑張ったね、結衣ちゃん……！」
音羽は息を切らしながら結衣の前髪をなでた。

しかし、モニターを見てすぐに次の指示をする。
「……夏梅さん、エコーください」
血圧は低いまま、そしてその心電図の波形。エコーを胸に当てて確信する。
「心タンポナーデ……心停止したのはこれが原因です。心嚢穿刺ください」
「はい」

それを見ていた蓮がまた泣きそうな顔になる。
「結衣助かったんじゃないの……？」
「蓮くん、大丈夫よ、すぐ終わるからね」
夏梅が蓮の目を隠す。

「排液できました。すぐに搬送しましょう」




音羽が結衣を抱いて外に出ようとすると、蓮が何か言いたそうに音羽の前に立った。


「……結衣と…一生会えなくなるかと思った……」
目にはまた涙が溜まっている。



「先生、助けてくれてありがとう」



音羽が蓮の頭をぽんと撫でる。


「……妹を大切にな」



その顔には不器用な笑顔が浮かんでいた――――




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