#05 ページ28
『喜多見チーフ、奥に7歳前後の女の子と10歳くらいの男の子発見しました。女の子は意識ありません』
イヤホンマイクから音羽の声。喜多見は夏梅を見た。
「夏梅さん、こっちは大丈夫ですので、小児用AED持って音羽先生の方に」
夏梅もその指示があるとわかっていたようにひとつ頷くと、車両の奥へと走っていった。
***
「お医者さんです、わかる?僕、名前は?」
「……大塚…蓮…」
男の子の方は大きな怪我はない。女の子の方が重症だ。
「結衣を……妹を助けて!さっきから返事しないんだ……!」
「もう大丈夫だから。結衣ちゃんはさっきまでは起きてたんだね?」
涙で声を詰まらせながら訴える蓮に、優しく声をかけながら落ち着かせる。
「……おれ、お兄ちゃんだから……守らなきゃいけなかったのに……!」
”お兄ちゃんだから”
その言葉に、ルートを確保していた音羽の手が一瞬止まる。
「大丈夫。結衣ちゃんは必ず助ける」
***
ERカー内の室温は暑すぎるほどだった。自分で刺さった金属片を引き抜いた男性には毛布が掛けられている。冷え切った身体を温めるためだ。
「……上腸間膜動脈損傷しています。出血源はここですね」
損傷している血管を人差し指で圧迫し、吸引する。
小日向は額に汗を浮かべながらも、その手術スピードは相変わらず速く、もう出血部の縫合をしようとしていた。血管縫合糸と針で一気に縫合止血していく。
「止血タオル入れて急いで搬送しましょう」
オペを終えると、小日向はすぐに救護テントへ向かった。
次の命を救うのために――――
***
モニターから不安な響きが鳴っている。
「夏梅さん、アドレナリン1筒、生食で10にして1.7ml!」
「はい!」
音羽が心臓マッサージをしながら指示する。
車両の奥で見つかった女の子、結衣は、夏梅が来てすぐに心停止した。
蓮が目を真っ赤にしながら名前を呼ぶ。
音羽も心の中でそのこぼれ落ちそうな命に必死で呼びかけた。
……戻ってこい!
***
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わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです(泣)初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (5月3日 16時) (レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
滴 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか? 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わさび醤油 | 作成日時:2021年10月5日 19時