#14 ページ16
「大丈夫ですか？」
「ええ、でも左腕動かせません」
喜多見がはっと小日向の左腕を見る。
「わかりました、俺が執刀します」
「お願いします、サポートまわります。鉄パイプはおそらく腋窩動静脈を貫いてます。今、点滴全開にして服を切ったところです」
「切開して血行遮断しましょう。メスください」
小日向は喜多見が治療しやすいように完璧なサポートを片手だけでしていく。
しかし、だんだんと視界が歪んできた。出血のせいか、と奥歯をかみしめたが、目の前の喜多見も徐々に息が上がってきている。時折、何かを振り切るように頭を動かした。無線で聞こえてきた声を思い出す。
「喜多見チーフ……ガスです。立って……」
朦朧とする意識の中、言葉になっているかわからない声を絞り出した。暗く狭くなっていく視野に、喜多見の姿勢が崩れていくのが映る――……。
「ガスが下に溜まってる！立って息吸って！」
喜多見と、そして小日向も後ろから支えられて立ち上がった。
「音羽先生……！なんでっ……」
喜多見が息を弾ませる。
「だから、私の査定に響くんですよ」
何度目ですか、と言いながら患者の治療に当たる音羽。
喜多見は大きく息を吸うと、再び患者の下へしゃがみこんだ。
「腋窩動静脈遮断します。……遮断しました。引き抜きましょう」
喜多見が傷口を固定する。
小日向もようやく呼吸が戻ってきて、バッグの中からガーゼを取り出す。
「1回でいきますよ、３でいきます。……１、２、３！」
「ガーゼです！」
「ありがとうございます」
「バックボード用意――！」
ざざっという足音とともにレスキューが駆け寄ってきた。
「千住隊長！」
「いつガスに引火するかわからん！急ぐぞ！」
急いで患者をバックボードに乗せる。レスキューと喜多見、音羽がバックボードを支え、走り出した。小日向も後に続く。
……一時は無理だと思った命も、これで救えた
そう思うと急に足の力が抜けていった。
音羽が走りながら後ろを振り返る。小日向がついてきていない。少し向こうに、壁に寄りかかって立っている姿が見えた。肩で息をしている。
「喜多見チーフ」
喜多見と目を交わす。喜多見も後ろを振り返り、音羽を見てこくっと頷いた。
音羽はそれを見てバックボードから手を離し、来た道を再び走っていった。
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わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです（泣）初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (2023年5月3日 16時) (
レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
滴 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか？ 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (2023年4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます！月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油 | 作成日時：2021年10月5日 19時
