al ページ39
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中2の夏、移動教室だというのに席から動こうとしないクラスメイトがいるのに気がついた。
次は移動教室だと知らせに行こうと近づくと、ぼーっとしていたので、もしかして具合でも悪いのではないかと思って声をかけた。
彼はクラスでも有名で、はじめはみんな興味本位で話しかけていたらしいけど、今は好き好んで話しかける人もいなくなっていた。
私は周りの事情に詳しくなく、興味もない部類の人間だったので、ただ1人のクラスメイトとして彼を心配した。
それだけ。彼と関わりは全くない。
だってそれ以降彼とは
それからというもの、不意に視線を感じるようになった。
「はぁ? 何それ、私だったらぶん殴ってる」
「またも〜そんなんだからゴリラとか言われちゃうのよ。ね、Aちゃん?」
「ふふっ。私、そういうとこ嫌いじゃないよ」
こうして友人と会話をしている時も、誰かに見られている気がした。
けれどここで振り返ったら犯人の思うツボかもしれない、なんて考えて、気のせいだと思って何もないフリをした。
「なぁ、Aって彼氏とかいんの?」
そう言って話しかけてくれたクラスメイトの1人は、学年の中でも人気のある男子生徒だった。
顔も性格も良くて、まだ入学して少ししかしてないのにもう何人からも告白されたとかされてないとか。
その彼がそんな質問をしてくるということは、まあそういう気持ちがあったわけで。
中1の終わりに告白されて付き合った。
下校中も誰かにつけられている気がして、早足で帰る日々を送っていた私にとっては、これでようやく安心できた気がした。誰かと一緒に帰れることにホッとした。
けれど、現実はそう上手くいかなかった。
付き合って数日しか経っていないというのに、彼氏は近所の不良集団に絡まれて、酷い怪我を負ったらしい。
それからというもの、彼は精神を病んでしまい、学校に来なくなってしまった。
私も最初の数日はお見舞いに行ったけれど、誰にも会いたくないと門前払いされるようになってしまい、私達はそこで終わった。
それからはみんな私のことを案じて、軽々しく話しかけてくる男子も少なくなった。
私もしばらく誰かと付き合う気には到底ならなかったのでありがたかったけれど。
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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
海 - やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅累 | 作成日時:2023年1月9日 11時