lease ページ34
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翌日目を覚まして起きあがろうとすると、全身が痛くて立つこともままならなかった。
見ると勿論私は一糸纏わぬ姿で、肌には沢山の痕が付けられていたのでもう逃げられないと悟った。
春千夜は既にいなかった。
寝返りを打ってスマホを見ると、もう午後に近い時間で焦りはしたが、この時間までくると逆に諦めが勝る。
適当に暫くはスマホでもいじるかと思ったが、ふとメールが届いていることに気づいて、スマホのメールボックスを開いた。
そこには———私が私のことについて調査を頼んだ何でも屋からの、調査が終わったというメールだった。
何でも屋に行く間も、私の脳内は自分のことと春千夜のことと、色んなことで渦巻きあっていた。
不可解なことが多すぎて、言いようの無い不安な気持ちでいっぱいになる。
扉を叩くと、以前もいたお姉さんが受け付けてくれて、ソファへと案内される。
最初に来た時と同じように、暫く待つと紳士的な社長さんが顔を出して、お互い挨拶や社交辞令を交わした後、ついに本題へと進んだ。
「貴方が遭った通り魔事件ですが……その被害者全員が、貴方の関係者でした」
「え……?」
「貴方を含め男女5人。そのいずれも貴方と何かしら関わりがある方達です」
社長の男性の言葉に私は雷に打たれたような衝撃と共に、頭が真っ白になりかける。
あれは通り魔なんかではなく、意図的に起こされた事件かもしれないということに、私は恐怖と戦慄で言葉も出なくなる。
「貴方と関係の深かった友人と……貴方の婚約者です」
「そ、それって……」
私は持っていた指輪を取り出して、その婚約者というのはそこに刻んである名前で間違いないかと訊ねると、男性はゆっくりと頭を縦に振った。
「そんな……。じゃ、じゃあ春千夜は———」
「……今恋人を名乗っているその男は、貴方の恋人ではありません」
それは薄々、感じていたことだけれど。
でも一体、何でそんな真似を……。
「三途春千夜は、貴方の中学時代の同級生です。そして……現在に至るまでずっと、貴方にストーカー行為をしていました」
「……は……?」
いみがわからない。
春千夜がそんな、そんな人なわけない。
だってそうなら私は、今までずっと……。
「———そして、一連の事件の犯人も彼です」
私の理解が追いつかないのも関係なしに、男性は淡々と事実を語っていく。
まって。そんなはず……。
……そんなはず、あったかもしれない……?
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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
海 - やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅累 | 作成日時:2023年1月9日 11時