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『———速報です。通り魔事件の容疑者と思われる男が、先日深夜に渋谷区の交番に出頭し———警察は、動機について今後も調査していく模様で———』
「——————」
朝起き抜けに飛び込んできたのは、そんなニュースだった。
テレビをつけて早々、何でもない朝の穏やかな空気が一変する。
インタビュアーの緊迫した実況と、署に送還されていく犯人の映像が映し出される。
犯人はまだ若い男性だった。
俯いていて顔はよく見えなかったが、当然顔なんて覚えてるわけもなく。
「(この人が、私を襲った———)」
私はその場に立ち尽くして、淡々と流れる報道番組を見つめることしかできなかった。
街頭インタビューの様子が流れている間も、私の中には値の知れない緊迫感が渦巻いている。
犯人のことを恨んでいるわけではない。
確かに春千夜には沢山の迷惑をかけただろうし、何一つ覚えてないことで不便なことだってあった。
だけど、結果論ではあるが今の自分は多分幸せだと思うし、自分でもここまで絆されたのは驚きではあるけれど、春千夜に恋ができて、よかったと思ってすらいる。
だけど確か、私の他にもこの犯人に被害を受けたのは4人いる。
そして、私だけが一命を取り留めた。
被害者家族からすれば、犯人は殺したいほど憎いだろう。
そして唯一助かった私が、犯人を恨むこともなくのうのうと生きていることも、気に食わないかも知らない。
他の4人の被害者のことは、勿論覚えてないし、そもそも他人の可能性が高い。
時間も場所も性別も様々で、ただ同じ犯人に襲われたというだけ。
私だけがたまたま近くに人がいて、救急車も早くて助かっただけ。
たまたま打ちどころがよかっただけ。
ひょっとしたら、私ではない他の4人の誰かがたすかっていて、私が死んでいた可能性だってある。
本当に、偶然———
私が、死んでいたかもしれないんだ。
ぞくっと、背筋を悪寒が走った。
死という事実をより身近に感じて、自分は“偶然”生きているだけなのだと思うと、恐怖で身がすくむ。
『———犯人が逮捕されても、娘は帰ってこない』
そんなインタビューの映像が流れ始めた。
嗚呼———
生きているのが私で、ごめんなさい。
襲われる前、会社も辞めて散財していたという、もしかしたら希死願望があったのかもしれない私が———
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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (
レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
海 - やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅累 | 作成日時：2023年1月9日 11時
