ceptive ページ20
三途さんは時折、日付が変わっても帰ってこない。
直接尋ねたことはないけど、仕事ならば当直か泊まり込みで残業か何かなのだろうと思っている。
本当の恋人なら浮気とか疑ったりするんだろうけど……。
もし仮にそうだとしても私にはそれを咎める権利はないし、寧ろ———寧ろ、そうであってほしい、と思う。
仮に浮気してくれていたのなら、それを理由に別れることができるから。
三途さんのあの顔立ちなら相当モテるに違いない。
きっと女の子の扱いもきっと慣れていて、隣にどんな美人を並べていても絵になるだろう。
私じゃない女の人と並んで歩く彼を想像して、胸がチクッとした。
自分のその反応に驚いたのか、或いは認めたくなかったのか。私はぶんぶんと頭を振って思考を逃がしていた。
別に、彼のことなんてどうでもいい、どうでもいい、筈なのに。
なんで私は今日も、彼の帰りを待っているのだろう。
今日も帰ってこないかもしれないのに。
さっさと眠ればいいのに。
「……違う、これは……そう、仕事を探しているだけよ」
深夜の薄暗い雰囲気を、暖かな色の照明が照らすリビング。テーブルの上のパソコンの光は眩しすぎて。
画面は求人のページで止まったまま、私がマウスを動かすのを待っている。
気づけば無意識に三途さんを待っている自分がいた。
帰ってこない日もあって、私はどこか落胆して眠りについていた。
ふと時計に目をやると、時刻は午前1時30分を回っていた。
カチカチと機械的に秒針を刻む音が静かな部屋に響いて、私は一つ嘆息してパソコンの画面を閉じて伸びをする。
「寝るかぁ……」
諦めて立ち上がった時、ガチャリと玄関と鍵が開く音がして胸が高鳴ったなんて、私も絆されたもんだよなぁ。
「三途さん……おかえりなさい」
「A……？」
思わず玄関まで迎えに出ると、どこかぼんやりした様子の三途さんがこちらを見下ろす。
「仕事探してたら寝るの遅くなって。お風呂は洗ってあるので適当に———」
なんて、照れ隠しからか、さも私はたまたま起きてだけという体を装おうと空事を本能のままに滑らせた瞬間だった。
私の視界は、真っ暗に覆われた。
「ちょっ———」
それが三途さんに抱きつかれたものだと理解した時には、すでに私はからの腕の中にすっぽりと収まっていて、身動き一つとれなかった。
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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (
レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
海 - やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅累 | 作成日時：2023年1月9日 11時
