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「いや、これは流石に申し訳ないというか」
「テメェの手が冷たすぎるから仕方ねぇだろうが」
先程マフラーを外す手を止めた時に私の手に触れたのだろう。
確かに指先じんじんするけれど……。
しかしそれでは今度は三途さんが冷えてしまう。
「あ、では少し待っていてください」
良いことを思いついて、私は駆け出した。
近くの自販機で温かい缶コーヒーを買って、再び戻ってくる。
「これなら、暖かいと思って」
ぴとっと三途さんの冷えた頬に缶コーヒーをつけて、誇らしげに笑ってみせた。
もし私達が普通の恋人なら、ここで手を繋いであったかい的なことをするのだろうが、その手には乗らない。
何度でも言うが、三途さんにとっては違くとも、私にとって彼はつい先日出会ったばかりの他人なのだ。
他人と、それも異性と軽率に手を繋ぐなんてこと、私にはできなかった。
そもそも異性と触れ合った記憶さえさっぱり抜け落ちているので、実質今こうして三途さんと話しているのでさえ、私にとっては人生初めて異性と話しているようなものなのだ。
「……熱すぎ」
「えっ、あっ、ごめんなさ——」
流石にいきなりすぎただろうか、また私は迷惑をかけたかも何てことが高速で頭の中を飛び交ろうとしたのだが、まるでその思考を遮るかのように、三途さんが私の頭にぽんと手を置いた。
そのまますたすたと私を追い越して行って、私はポカンとしたままその場に取り残されるかと思っていたのだが。
「……ほら、何してんだ。帰るぞ」
ふと足を止めて振り返った三途さんの耳は、すっかり赤く染まっていた。
この寒空の下で冷えたからなのか、それとも紅潮して熱くなったからなのかはわからなかったけれど、先程の私の行動はどうやら間違ってなかったようで、少しだけ嬉しく思った。
思わず笑みが溢れていたのだろうか。
微笑を浮かべながら彼の隣を歩いていると、「にやにやすんな、気持ち悪ぃ」と案の定小突かれたのだが。
通り過ぎる人々の視線が自然と集まる。
それはきっと、三途さんのこの奇抜な見た目と綺麗な顔にあるのだろう。
どうですか？ 私達はあなた方には普通の恋人に見えているのでしょうか。
ふふ、本当は全くの他人なのに。
先程マフラーの時に一瞬だが触れた彼の手は、私にとっては慣れないもので、なぜだか緊張感が走った。
……でもまあ、もう少し一緒にいるのも悪くない、かもしれない。
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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (
レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
海 - やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅累 | 作成日時：2023年1月9日 11時
