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act ページ12

その日は部屋から一歩も出ずに半日を過ごした。

 三途さんも気を遣ってかこちらに干渉してくるようなこともなく、翌日の朝には仕事に行ってしまった。

 
 私はというと———仕事には行けなかった。


 というか、辞めていた。

 
 それというのも、通り魔に襲われたあの日の私は、会社に辞表を出してきた帰りだったらしい。
 何故かはもちろんわからない。
 
 確かに新しい人生始めようとしたけど、本当にこんなステータスゼロからとは思わなかった……。

 そこそこ良い会社だったというのに、辞めてしまうような理由があったのだろうか。
 いじめとか、パワハラとか、それとも他の何かか。

 辞めてしまうような心労……。
 ひょっとしてひょっとしたら私はあの日———死のうと思っていたのかもしれない。

 だとしたら、運良く助かって記憶を失くした今の状態は、前の私からしたらなんて幸運なのだろうか。
 嫌なこと全部、何にも覚えてないんだもの。


 でも、そのせいで前の私を知る人の伝手が完全になくなってしまった。

 
 三途さんへのせめてもの餞として、前のことを少しでも知ろうと思ったけど、本当にふりだしだ。


 彼への誠意のお返しとして、もう少しだけここにいよう。恋人ごっこにも付き合ってあげよう。少しだけ。

 
 ……心許ないけど、それが今の私にできる餞別だ。


 彼が私のことをすっぱり諦めてくれるまで、それまでは彼が愛したAAのことを知るのも、悪くない気がする。
 

 新しい人生を始めるのはそれからでも遅くないんじゃないかって、そう思った。

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ぱーぷる姫(プロフ) - こういうの普段は読まないですけど、タイトルに惹かれました。読んで正解でした。鳥肌です。ありがとうございました (9月30日 18時) (レス) @page43 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 闇深いけど好きです笑 (9月2日 0時) (レス) @page44 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
- やばい、ちょー好き、ストーカー系好きなんですよね笑 (6月4日 9時) (レス) @page45 id: 465dec3a48 (このIDを非表示/違反報告)
華夜(プロフ) - 衝撃展開...... (2023年3月28日 11時) (レス) @page34 id: e1dc7047a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梅累 | 作成日時:2023年1月9日 11時

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