変わらない思いを抱く[wrwrd] (ページ2)

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汗が二滴ページ2

夜。
何かしらに呼ばれた、ような気がした。
俺の名をか弱く、悲しそうに呼んだ声が確かに聞こえたのだ。
誰なのかも、何のために呼ぶのかも分からない。
でも俺は、暑いから頭を冷やしてくると親に言い、家から出た。
部屋の冷房を、わざわざ切って。

家を出てからずっと耳鳴りが止まない。高い、高い音の耳鳴り。
右耳を押さえながら、耳鳴りが強くなっていく方に足を進めた。何故かなんて分かんないけど、そっちに行かないといけないと、思ったから。
もう自分がなにをしているのか、なにをしようとしているのか、全く理解できない。
でもきっとこの足を止めたら、俺は絶対に後悔する。

レンズの端に、見覚えのある色彩が宿った。
「…………グルッペン？」
その名を呼んだ瞬間、耳鳴りが途切れた。本能のまま飛び出した。行かなくちゃ、俺は。
グルッペンを、＊＊＊＊＊。

路地裏を曲がろうとしているグルッペンを見つけた。こんなに暗いのに、グルッペンの服は目がチカチカするほど白い。
「グルッペン！」
俺の口から出た声は意外と切羽詰まったように聞こえる。
振り返ったグルッペンは俺の顔を見て大きく目を見開いた。
なにかに引っ張られるように路地裏に吸い込まれるグルッペンは、聞いたこともない大声で叫ばれた。

「来るな、頼むトントン！」

俺の体は縛られたように止まった。路地裏に消えていったグルッペンは、俺のその姿を見て。
満足そうに、笑った。
安心したように、笑った。
救われたように、笑った。

なんだよ、その顔。
来るなってなんや。
頼むってどう言うことや。
お前は、どうなるんや。

「……ごめん」
きつく拳を握り俺は足を踏み出した。

たとえ本人に望まれていなくても
俺はグルッペンを救いたい。