五つ目の狂犬 ページ27
グルッペンが警戒を解いたのを察したのか、コネシマは胡座をかく。
「いいのか、コネシマ。お前の知ってる人間では無いのだぞ」
意味が解らない言葉を吐いたと思えば。
コネシマは満面の笑みで答えた。悲しそうに、寂しそうに、嬉しそうに。
「ええねん、生きとるだけで。今度こそ守ってやるだけや。
覚えとらんくても、拒絶されても」
俺は、何故か解らなかったが、胸から込み上げてくる感情を必死に抑えた。
入ってはいけない領域だ。踏み行っては駄目な範囲だ。理解したらきっと戻れない。
グルッペンが説明しないって事はまだ俺は知らなくて良いと言うことだ。
トントンは自分が解らない事が有って嫌なのか、微かに表情を歪めている。
「……どういう」
「記憶がなければ別人だ。忘れていれば約束も無かった事になる。
それでも、コネシマは、お前は、足掻くんだな」
トントンのか細い声に被せてグルッペンが言う。
グルッペンの表情はとても辛そうで、コネシマは強がりの笑顔で。
「おん」
コネシマは変わらず強がって。真っ直ぐ前を見据えて。
「辛いぞ、きっと」
グルッペンは何度もコネシマに尋ねる。表情は険しい。
「解っとる」
コネシマは何度も答える。自分に言い聞かせるように。
「思い出さないかも、しれないのだぞ」
強く拳を握るグルッペン。
「思い出さん方がええやろ」
必死に笑うコネシマは痛々しい。
「いいのか、本当に、それで！」
声を張り上げたグルッペン。
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サドちゃん(プロフ) - おそらるさん» コメントありがとうございます。これからも更新頑張っていくので読んで頂ければ幸いです。(グルさんこの先も可愛いです) (2016年12月27日 10時) (
レス) id: 6d48bffa47 (このIDを非表示/違反報告)
おそらる(プロフ) - この作品大好きです!応援してます!(グルさんかわいい) (2016年12月27日 9時) (レス) id: c936446b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サドちゃん
作成日時：2016年12月7日 21時
