五つ目の外交官 ページ16
下らなく、つまらなく、ただただ愚かな答えに。
俺は笑いを堪えられず、片手で両目を覆って、天井を仰いだ。
空間には不定期に聞こえる俺の笑い声がひたすら響いている。
「……急にどうしたん、グルッペンさん」
おそるおそるオスマンが聞いてくる。そんな態度も笑えて、可笑しくて、狂ってて。
「どうしたもこうしたも無い。だがまぁ、逃れられはしない。答えを確認するのは」
片手を顔から外して椅子から立ち上がる。
「さて＿＿答え合わせと行こう。
この国では明日、とある優秀だった外交官が処刑されるらしい。
その外交官は、生意気な態度を取っていて他国に失礼な対応をしたとか。その罪で＿＿処刑される。
だがこれはあくまでも噂、だ。
何故優秀な外交官が生意気な態度を取っている？
外交官とは対話のプロフェッショナルだ。
相手の不快感を与えない事に関しては、当たり前のようにしている。
つまり、生意気な態度を取っていた事が嘘だと言うことになる」
部屋を歩き回る。横目でオスマンを伺えば笑顔が貼り付いてた。
「どうしてそんな嘘が流された？
それは敵を作りすぎたからだ。
優秀故に上司に目を付けられたお前。何処の時代、何処の国でも天才は忌み嫌われる。
その確かな実力を恐れたお前の同胞は、お前を追放することにした。処刑することにした」
再度椅子に座る。今度は足を組んで。
オスマンの壊れて歪んだ瞳を見る。反らさない様に、しっかりと睨み付ける。
「何故実力を恐れる？
この世界には能力が有るのに。だが、お前の同胞は当たり前の感情を持っている。
なんせお前は。
能力を持っていない人間だからだ」
オスマンの笑顔が、呆れたように動いた。
諦めたように、対抗していた思考戦を投了した。
「お前＿＿オスマンは、人間離れした観察力で、怪物じみた心理学で、人の感情を悟ることが出来るだけで。
人の心を覗ける能力なんて、ましてや能力なんて、持ってないのだ。」
オスマンが、絞り出したような微かな声で呟いた。
「まさか、ここまでとはなぁ」
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サドちゃん(プロフ) - おそらるさん» コメントありがとうございます。これからも更新頑張っていくので読んで頂ければ幸いです。(グルさんこの先も可愛いです) (2016年12月27日 10時) (
レス) id: 6d48bffa47 (このIDを非表示/違反報告)
おそらる(プロフ) - この作品大好きです!応援してます!(グルさんかわいい) (2016年12月27日 9時) (レス) id: c936446b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サドちゃん
作成日時：2016年12月7日 21時
