優良生徒グルッペンと不良生徒トントンの物語 ページ25
「よくできたね」
「すごいね」
「だから」
「もっと頑張れるよね」
__産まれてから、俺は操り人形だ。
父と母は両方医療系の仕事に就いていて、俺もそれを継ぐものだと思われていた。
テストは90点を下回った事はなく、成績表もたった一つの数字で埋められていた。
部活だってキャプテンとして引っ張ってきた。容姿も整っている。
でも、中学生を卒業する年になった今でも、友達は居ない。
教室で一人。部活でも一人。家でも一人。
寂しかった。でも言わなかった。言ってはいけないと思っていた。
「じゃ、この企画よろしくね」
生徒会長だから押し付けられる業務。肩がずぅんと重かった。
半分以上進めて疲れたからトイレに入った。
上から水が降ってきた。笑い声が反響して遠退いた。
呼吸が辛かった。心が痛かった。頭が叫んでいた。何かが壊れそうだった。
「大丈夫ですかー?」
扉が乱雑に開かれた。鍵をかけたはずなのに。
「ここの個室だけ鍵壊れてるん知らない? 俺らが壊したんやけどな」
タオルで頭を拭かれた。
「あーあーびしょ濡れやん。これが本当の濡れ鼠ってな」
泣きたくなった。
「……誰だ」
若干鼻声で問う。教室で学ランが乾くのをひたすら待っている。
「知らん? 結構不良なんやけど」
「……あぁ、思い出した」
「にしても水掛けるまでいくとは思わんかったな。疲れんの? その生き方」
「……疲れてはいない。ただ、寂しい」
初対面の相手に本音を言った。不思議な感覚だった。
「じゃ友達になろうや」
欲しかった言葉は意図も簡単に言われた。
「え、ええの?」
「よろしゅうな」
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作者名:サドちゃん
作成日時:2016年9月13日 19時