お先真っ暗[実況者] ページ1
中学二年生の春。
私は両親を無くしました。
葬式の喪主は、母方のおばあちゃんが勤めてくれて、私はただ声を上げずに泣くお飾り人形となっていたが。
「さすがに...三日も泣いたら、前を見なきゃねぇ。」
朝、余っていた卵を煮て、それを食べる。
「料理も、水と油を使わない餃子が作れる程度。家事は人並みには出来るけど、学校がなぁ。」
只今、学校は休んでいる。
母方の家は、去年おじいちゃんが死んだばかりで、父方の実家とは縁を切ってしまうほどの中の悪さ。
従兄弟は居らず、中の良い親戚の大半は県外。
「これは、住むところが...無い。この家も後一週間で追い出されるからなぁ。」
とりあえず、現代の力を駆使し、近所の孤児院を探してみるか。
「駄目だ。」
孤児探しはむなしく、意味をなさなかった。
なんせ、小学生では無い私は、中学生以下の孤児院に入らなければならない。が、近所にそんな所は無い。
そこそこ田舎だが、そこまで田舎だとは思わなかった。
さぁて、どうしようか。そう悩み出した時、家のチャイムがなった。
はて、お隣さんの生存確認だろうか。
「えっと、お母さんの高校時代の友人の、香坂と申します。今回は、お悔やみ申し上げます。」
高校時代の友人と言ったその人を、さっさと仏間に通す。
はっきり言えば、これは初めてでは無い。何人か来たし、何人かに気を確かにと心配された。
「今日は、ありがとうございます。きっと、お母さんも、嬉しいと思います。」
「いえいえ、それにしても、お母さんそっくりやね。お名前聞いても良いかな。」
「Aと言います。」
頭をそっと撫でられる。
「偉いなぁ。礼儀正しいし、言葉使いもしっかりしとる。」
お父さんみたいな温もりは無く、やっぱりお父さんはもう居ないんだと理解させられる。
虚しい感情は、行き場も無く私の心に入った。
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作者名:サドちゃん
作成日時:2016年9月13日 19時