PHILIP MORRIS / 鬼滅の刃 (ページ5)

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わたしはもともと、酷い親の元に生まれ落ちた。

父の顔は見たことがない。

食事なんて母が残したものをバレないように食べていたし、どこで手に入れたのかわからない手錠かなんかで母のベッドと右手首を繋げられていた。

日に日に痣は増えていって、でも他の人に言うと手をミキサーに入れられ、ジュースにされてしまうから怖くて言えなかった。

そしてある日、母はどこかへ行ってしまった。

どんなに酷くてもわたしにとっては母だったから、それなりには悲しかった。

そして悲しみの後に来たのはとてつもない空腹。

今までは１日に１食、多くても２食(と言ってももちろん量は少なかったけど)あったから、何も食べない、何も飲まないというのは辛かった。

手錠をつけられてどこにも行けない。

仕方なく床にころがってぼーっとしてた。

たぶん２日後か３日後くらい、意識が朦朧としてきてこれまでに無いくらいの深い眠りについた。

今思えば死にかけてたんだと思う。

その時は"死ぬ"っていうのがどういうことか知らなかったから、この後どうなるんだろう、くらいにしか思ってなかった。

まあそれはおいといて、気がつくと病院だった。

腕にたくさんの針が刺さってから、怖くて抜いたら女の人が来て

「あ、目が覚めてるわ！…って何してるの！」

って驚かれた。そりゃそうなると思う。

だって点滴抜いてるんだもん。笑える。あはは。

それから警察の事情聴取に "ままはいません" の一点張りで答え、孤児院で保護されることになった。

そしてその一年後、わたしは胡蝶家に引き取られることになる。

しかしわたしが１１歳になったころ、わたしのせいで両親が離婚した。

母が私のことを気に入らなかったから。

カナエ姉さんとしのぶ姉さんは母と共に都会へ、わたしとカナヲは父とこの家に住むことになった。

だからしのぶ姉さんはここにはいないはずなのに。

どうして。