検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,069 hit

十六話:頼み ページ19






放課後、授業が終わり今日は確かバイトだったな、と思い出しながら廊下を歩く。


階段を下ろうとすると後ろから声がかかり、振り向けばなかむ君が笑顔で立っていた。



nk「A!今日も家、来る?」


「あ、今日バイトなので…。てか、昨日も行きましたよね?w」


nk「そっか…じゃ、一緒に帰らない?きんときとぶるーく、用があってさー」


「いいですよ。帰りますか」



お昼にあんな話をしたから少し身構えてしまうが、なかむ君はいつもと変わらない様子で話すので、安心する。


他愛もない話をしながら暫く歩いていると、同じ道を歩く人がいなくなっていることに気付く。


ここの道は人通りが少ないわけでもないのに、珍しい。


あたりを見回していると、なかむ君が足を止めて話し出す。



nk「……ねぇ、A。一個、お願い聞いてくんない?」


「…お願い?急にどうしたんですか?」


nk「……今俺、喉渇いてるんだよね」



その言葉に直感的にやばい、と思う。


血を、狙ってる。



nk「お願い!ちょっとでいいから…。ね?」


「……い、嫌です。痛いので」


nk「痛くしないよ。約束する」


「いやいやいや、牙が刺さるのに、痛くないわけないですって!」


nk「………どうしても、ダメ?」


「痛いの分かってるのに、いいよなんて言いません!」


nk「お願い!痛くしない!!ちょっとだけだから!!!」



…………強く押されると断れないのが悪いところだと、何度思ったことか。



「……………まじで、痛くしないでくださいね」


nk「!やったぁ!ありがと、なるべくそうする!!」


「なるべく………()」



お願いを断り切れるぐらい強くなりたい(切実)



仕方なくボタンを一、二個外し首元をあらわにする。


周りに人がいないことが不幸中の幸い、といったところか。



nk「いただきますっ!」



元気のいい挨拶と共に、首元に痛みが走る。


激痛、とまではいかないが痛いものは痛い。



「った………。」



俺の首元に顔を埋めて、血を吸うなかむ君。


首元だけじゃなく、体全身、痛みとだるさがじわじわと強くなっていく。


きんときさんの時より痛みは弱いものの、吸う時間が長い気がする。


二、三分程血を吸って、パッと顔を上げる。


その瞳はいつもの水色じゃなくて、吸血鬼が見せる赤い瞳だった。


この人もちゃんとした吸血鬼だったわ………。






十七話:痕→←十五話:赤色の気持ち



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
89人がお気に入り
設定タグ:WT , 吸血鬼 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

肉ジュース - むいまる。さん» コメントありがとうございます、とても励みになります!!吸血鬼と言ったら🎤さん、みたいなイメージがありますw (2022年3月29日 10時) (レス) @page13 id: 7f90914a49 (このIDを非表示/違反報告)
むいまる。(プロフ) - コメント失礼致します!ものすごく面白い展開で、特に🎤さんの行動が解釈一致というか…笑 これからも無理をなさらず頑張ってください!応援しております😊💕 (2022年3月29日 7時) (レス) @page13 id: 4fbd112904 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:肉ジュース | 作成日時:2022年3月17日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。