十六話:頼み ページ19
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放課後、授業が終わり今日は確かバイトだったな、と思い出しながら廊下を歩く。
階段を下ろうとすると後ろから声がかかり、振り向けばなかむ君が笑顔で立っていた。
nk「A!今日も家、来る?」
「あ、今日バイトなので…。てか、昨日も行きましたよね?w」
nk「そっか…じゃ、一緒に帰らない?きんときとぶるーく、用があってさー」
「いいですよ。帰りますか」
お昼にあんな話をしたから少し身構えてしまうが、なかむ君はいつもと変わらない様子で話すので、安心する。
他愛もない話をしながら暫く歩いていると、同じ道を歩く人がいなくなっていることに気付く。
ここの道は人通りが少ないわけでもないのに、珍しい。
あたりを見回していると、なかむ君が足を止めて話し出す。
nk「……ねぇ、A。一個、お願い聞いてくんない?」
「…お願い?急にどうしたんですか?」
nk「……今俺、喉渇いてるんだよね」
その言葉に直感的にやばい、と思う。
血を、狙ってる。
nk「お願い!ちょっとでいいから…。ね?」
「……い、嫌です。痛いので」
nk「痛くしないよ。約束する」
「いやいやいや、牙が刺さるのに、痛くないわけないですって!」
nk「………どうしても、ダメ?」
「痛いの分かってるのに、いいよなんて言いません!」
nk「お願い!痛くしない!!ちょっとだけだから!!!」
…………強く押されると断れないのが悪いところだと、何度思ったことか。
「……………まじで、痛くしないでくださいね」
nk「!やったぁ!ありがと、なるべくそうする!!」
「なるべく………()」
お願いを断り切れるぐらい強くなりたい(切実)
仕方なくボタンを一、二個外し首元をあらわにする。
周りに人がいないことが不幸中の幸い、といったところか。
nk「いただきますっ!」
元気のいい挨拶と共に、首元に痛みが走る。
激痛、とまではいかないが痛いものは痛い。
「った………。」
俺の首元に顔を埋めて、血を吸うなかむ君。
首元だけじゃなく、体全身、痛みとだるさがじわじわと強くなっていく。
きんときさんの時より痛みは弱いものの、吸う時間が長い気がする。
二、三分程血を吸って、パッと顔を上げる。
その瞳はいつもの水色じゃなくて、吸血鬼が見せる赤い瞳だった。
この人もちゃんとした吸血鬼だったわ………。
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肉ジュース - むいまる。さん» コメントありがとうございます、とても励みになります!!吸血鬼と言ったら🎤さん、みたいなイメージがありますw (2022年3月29日 10時) (レス) @page13 id: 7f90914a49 (このIDを非表示/違反報告)
むいまる。(プロフ) - コメント失礼致します!ものすごく面白い展開で、特に🎤さんの行動が解釈一致というか…笑 これからも無理をなさらず頑張ってください!応援しております😊💕 (2022年3月29日 7時) (レス) @page13 id: 4fbd112904 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉ジュース | 作成日時:2022年3月17日 14時