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隣国の新王と婚約が決まり、本格的に結婚に向けて動き出した時突然アダムが国を離れると言い出した。
最初誰もが彼の発言にとても驚いていたが彼の強い意思に皆は説得を諦めたのかもう反論をする人はいなかった。
私は勿論反対するつもりだったが今まで彼が自分から何かをしたいと言うのは珍しかったので、直にここにいる事も少なくなるのなら彼も此処から解放してあげようと考え敢えて何も言わなかった。
「私が国から出ることに何とも思って下さらないのですね。過去の男はもうどうでも良いと？」
「そういう訳じゃ…！」
「ふふ、すみません。少し意地悪をしてしまいましたね」
彼はクスクスと笑い私の隣にあった椅子に腰を下ろした。
隣の彼を横目で見るととてもいい笑顔でこちらを見ていた。とても心臓に悪い…。
「私、南米辺りに行こうと思うんです」
「南米…？それってここと違って暖かい所だっけ？」
「えぇ、私も詳しくは分かりませんが良い経験になるかと思い行ってみるのも一興かと考えてみたのですが」
「うん？」
「やはり、貴女が側に居なくなると思うと寂しいものですね」
彼は眉を下げ私の手にそっと触れた。
今更だが彼は笑う時眉を下げる癖があるなと気づいた。
こんなに長い間一緒に居たのに全く気づかなかった…つまりお互いがお互い自分の事で必死だったのだ。
別れが近づいた瞬間になって漸くちゃんと周りが見え始めお互い素直になれた。いや、別れが近づいたからこそなれたのかもしれない。
ずっと一緒にいようと幼い日の彼に言った約束は守れなかったがこれもきっと一つの私達の終わり方だろう。
ハッピーエンドじゃないと思う人も居るだろうが私はこの結末に不満はない。いやでも一つ心残りがあるとすれば…
「アダム、好きだったよ」
「私は！…私も好きで……した」
この恋にちゃんとケリをつけたかった。両親を亡くした15の時彼一人だけがずっと側に居てくれた。
あの日あの時彼が側に居てくれたから今の私があると言っても過言ではないのだ。
「アダムって王子様みたいだね」
「…もし私が本当に王子とやらなら貴女と結ばれたのでしょうか？」
「そうかもしれないけど、私は多分アダムの事好きになってなかったかも！」
「ふふ、そうかもしれませんね」
彼は最後にもう一度だけ…と呟き私の唇に彼の唇を乗せた。
二日後彼は一人国を出た。
20歳の私は今彼がどうしているかは分からないが新しい場所で新しい出会いを見つける事を祈るばかりだ。
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骸蜘髏巍屍龍(プロフ) - コメント失礼します。話の構成などしっかりしていて楽しく読ませて頂きました。もっと評価されるべきです。 (2018年12月7日 22時) (
レス) id: 959d44c789 (このIDを非表示/違反報告)
ルビィ - ブリさんはじめまして！小説を読ませていただきました！これはこれでありかなと思いました！今度はくっつけたものを作ってもらいたいです！作ってくれたら大変嬉しいです！ (2018年11月4日 6時) (レス) id: 550de2ef3a (このIDを非表示/違反報告)
扇ちゃん - ブリさんお疲れ様でした...！恋人もいいですが、確かにこの終わり方もアリだと思いましたヾ(*‘ω‘ )ノぜひ別ルートも読んでみたいです｡・:＋° (2018年11月3日 23時) (レス) id: bbbfe29df4 (このIDを非表示/違反報告)
blackReaper(プロフ) - 初コメ失礼します！とてもいい作品でした！別ルート見たいです！ (2018年11月3日 22時) (レス) id: c135075968 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして！最後まで読ませていただきました。とても楽しませてもらいました！別ルートも読んでみたいです。 (2018年11月3日 20時) (レス) id: dc95947527 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブリ | 作成日時：2018年10月25日 11時
