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私とソーン君は別の所に避難する為玄関前を離れようとした時だった。
突然玄関の扉が何者かの手によって開かれた。
「やあ、僕の麗しの王女サマ」
「貴方は隣国の…！」
何と城に単独で侵入してきたのは隣国の新王だった。
私が16の時向こうが突然結婚の申し込みをしてきたのを断った以来何も音沙汰なかったと思えば今の現状だ。
私はソーン君を庇うように背中に隠した。
「何か御用でしょうか」
「君にいい提案があるんだが…それをのんでくれるなら今すぐにでも兵を撤退させると誓おう」
「……どんな提案で？」
彼は下卑た笑みを浮かべると私を舐めるような目線で全身を見渡した。
正直かなり気持ち悪い。
「結婚しよう、僕と」
「っ」
私が言葉に詰まると彼は少し不満気な表情を浮かべ、私の後ろに隠れているソーン君は私の裾を握っている手に力が入ったのが分かった。
「本当にその意見をのんだら兵は撤退させるのですね？」
「あぁ、僕は嘘はつかないよ」
「……分かりました」
「A様…！」
「ごめんね、ソーン君。でも私こんな私情で誰一人命を落として欲しくない」
「こんなとは酷いじゃないか、僕の花嫁」
ソーン君は泣き出しそうな表情で私を見上げたがもう私の決意は固まっていた。
結婚の申し込みをのんだだけで兵士の皆やアダムの命は保証されるのだ。天秤にかけずともどちらが軽いかなんて明白だった。
「じゃあ早速皆の前で結婚報告と行こうじゃないか」
「えぇ、そうですね…ごめんね、ソーン君…ちょっと行ってくるからここで待っててね」
私は隣国の新王の手を取った瞬間、2年前のアダムが一緒に逃げようと言ってきた言葉が脳裏を過った。
あの時彼と逃げていたらどうなっていたのだろうか…ありもしない未来を思い浮かべたが隣に居る男の顔を見てそんな未来は直ぐに打ち砕かれた。
彼との思い出を心の奥に仕舞い込み、男の手を恐る恐る握り返した。
「皆の者、戦争は中止だ！これからは仲間同士仲良くし給え！」
両軍は剣を下ろすと、ザワザワと困惑の声が上がり始めた。
今から戦争を始めるって言うのに仲良くなんて正反対の事を言われたのだ。向こうの立場なら私だって間違いなく困惑状態に陥る。
「この国の女王と結婚する事になった！皆の者今夜は祝杯だ！たんと飲み食いすると良い！」
男がそう高らかに告げ大笑いをすると両軍の方から大歓声が上がった。
私はこの大歓声を聞き、自分の選択は間違っていなかったんだと必死に思い込んだ。
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骸蜘髏巍屍龍(プロフ) - コメント失礼します。話の構成などしっかりしていて楽しく読ませて頂きました。もっと評価されるべきです。 (2018年12月7日 22時) (
レス) id: 959d44c789 (このIDを非表示/違反報告)
ルビィ - ブリさんはじめまして！小説を読ませていただきました！これはこれでありかなと思いました！今度はくっつけたものを作ってもらいたいです！作ってくれたら大変嬉しいです！ (2018年11月4日 6時) (レス) id: 550de2ef3a (このIDを非表示/違反報告)
扇ちゃん - ブリさんお疲れ様でした...！恋人もいいですが、確かにこの終わり方もアリだと思いましたヾ(*‘ω‘ )ノぜひ別ルートも読んでみたいです｡・:＋° (2018年11月3日 23時) (レス) id: bbbfe29df4 (このIDを非表示/違反報告)
blackReaper(プロフ) - 初コメ失礼します！とてもいい作品でした！別ルート見たいです！ (2018年11月3日 22時) (レス) id: c135075968 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして！最後まで読ませていただきました。とても楽しませてもらいました！別ルートも読んでみたいです。 (2018年11月3日 20時) (レス) id: dc95947527 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブリ | 作成日時：2018年10月25日 11時
