乾燥【rs】 ページ4
最近空気が乾燥しているせいか、気づかないうちに唇が切れていた
リップクリームを塗ろうとしたけど、テーブルの上にある
少しの距離なのに、動くのめんどくさいな…などと随分ズボラなことを考えていたら、Rasがリビングに入ってきた
そのまま私のいるソファーまで来て、私の隣に腰を下ろす
「A〜」
「どうしたの〜」
「呼んだだけ。」
「なあにそれ〜」
ふわふわだねぇ、なんて言いながらRasと目を合わせて笑うと、ふへへ〜って微笑み返してくれた
かわいいなぁと思いながら、スマホに視線を移した
「あれ、A?」
はずだったけど、直後に名前を呼ばれたので、もう一度Rasの方を向く
「ん?」
「口…切れてる」
私の口の端に触れて、少し表情を曇らせたRas。
そういえば放置してたんだった。そんなに大したことないのに。
「あ〜、リップクリーム、取りに行くのめんどくさくて」
「もー、ちゃんと塗らないとだめだよ〜」
ぷんぷん、という擬音でもついているみたいだ
私のめんどくさい、なんていう女の子らしくない発言にも文句を言わず、立ち上がってリップクリームを持ってきてくれた
「ん」
塗るよ、という意志を汲み取ったので、大人しく顔を向ける
なんとなく、目を開けたままは恥ずかしいので目も閉じた
…もう塗り終わった、はずなんだけど
「えっと、Ras?」
「…あ、あぁ、おわったよ!」
目を開けると、何故か最初よりも私と距離をとったRasがいた
「ありがとう、どうかした?」
「んーあーいや、、ちょっと…」
珍しく歯切れが悪そうに、口をモゴモゴさせている
不思議に思っていると、ポツリと呟くような声が聞こえた
「キス、したくなった…」
「へ」
思わぬ返答に顔が急激に熱を持ち始める
Rasは、たまに、こういう大きな爆弾を落としてくるのだ
「けど、Aのそれが治る?までは、おれ、ちゅーするの我慢するから!安心して!」
未だ状況が理解できていない私には気づかず、一人で決意表明なようなものをしているけど、そんなのは耳から通り抜けてしまった
「ぁ、うん、ありがとう…?」
働かない頭では、上の空な返事しかできない
いやでも、治るのどのくらいだ…?我慢か、できるかなぁ〜なんて、よくわからない唸り声を出しながら騒いでるRasを横目に、私はまだ熱い顔を冷やすのに必死だった
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作者名:桜雪花 | 作成日時:2021年11月25日 23時