理想の誕生日～倉安編～2 (ページ16)

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やすくんの誕生日～ボクの本当の願い⑦ ページ16

大倉side 俺の思い

「大倉さん、早くして下さい。
車、用意してありますから。」

「あ、ありがとう。今、行く！」

映画の試写会やら取材が終わったのは、夜の
11時をすぎた頃だった。

「早くしないと、間に合いませんよ。」

「わかってる。」

マネージャーに今日中に絶対帰りたいと言ったら、理由も聞かずに動いてくれてる。

何とありがたいことか。

まだ何とか間に合いそうだ。

今日のうちに会わないと、

誕生日の意味が無くなってしまう。

何も買ってないけど、

何処にも連れてってあげられないけど、

一緒にいてあげることは、できる。

そして、36歳の始まりを一緒に始められる
ことができる。

「じゃ、出発しますね。」

「よろしく。」

車窓から月を見ながら、

この月をヤスもきっと見てるんやな、

って思いを馳せる。

ほんまにいろいろあった2年やったな。

苦しかったけど、

長年の夢でもあったことが現実になった。

ずっとヤスのそばにいたかった。

泣いてる時も怒っている時も、

喜んでいる時も楽しんでいる時も、

全部のことを共有したかった。

でもそんな俺には気づきもしなかった。

そばにいれたらいい、

ずっと自分に言い聞かせていた。

それが、

うふふ。

両思いって、こんなに楽しいんやな。

幸せや～。

早く帰って、我が姫を早く抱きしめたい。

あと30分。

運転手さん、なんとか頑張ってくれ～。