理想の誕生日～倉安編～2 (ページ15)

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やすくんの誕生日～ボクの本当の願い⑥ ページ15

ヤスside 僕の思い

もうすぐ誕生日も終わっちゃうんやな。

今年の誕生日は一人で終わっていくんかな？

マネージャーの車で家まで送ってもらいながら、おれは車窓から月を眺めていた。

忙しいからな。

でも今日は間に合わなくても、明日には
、36歳の最初は彼とから始まることになる
もんね。

うふふ。

それはそれで、楽しみやん。

成らない事を思うより、成った事を喜ぶほうが、絶対良いよね。

疲れて帰ってくる彼を満面の笑みで迎えなくっちゃ。

笑顔の練習、練習！

「安田さん、何してるんですか？」

顔のストレッチをしている俺にマネージャーが声をかけた。

「顔のストレッチをしてるんだよ。」

「そうなんですね。
突然なんか始めたから、びっくりしました。」

「ごめん、ごめん。(笑)」

我がマンションに到着した。

「明日はちょっと早くお迎えにきますから。

そう言っといてくださいね。」

「ん？」

「じゃあまた明日。」

「お疲れ様～。」

家のドアを開けた。

「ただいま～。

おかえり～。」

自分の声だけが、部屋の中に響いた。

今日だけ、今だけちょっと寂しいんだよね。

明日になればきっと笑顔になれる。

今だけ、我慢すれば・・・。

この思いもきっと・・・。

今だけ、ちょっとだけ。

俺は溢れる涙を止める事ができず、

布団の上で泣いた。