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―空港にて
『信介！治！』
北「優。おかえり」
治「優くんおかえり」
一ノ瀬はイタリアのくせで2人の頬にピトッと自分の頬をくっつける。
2人共そのことを理解しているためふふっと笑っている。
『俺な、日本帰ってきたらまず治のところのおにぎりって決めてんねん』
治「ほな機内でも食べてへんの？」
『うん』
北「腹減ったやろ」
『減った〜。あと信介の米も楽しみ！』
北「帰ろうか」
『うん！』
ニコニコ笑って2人の間を歩く一ノ瀬は昔のままだ。
高校を卒業して今まで会えたのはたった数回だけ。
雑誌やテレビで見かける一ノ瀬は少しだけ大人びてみえる。
北「いつ東京に行くん？」
『合流は6日後やから前日？』
治「え？家とかどないすんの？」
『用意されとる』
治「わお。一流プレイヤーはほんまちゃうな」
北「ほな、4日間くらいこっちおるん？」
『うん！そのつもり』
北「泊まるところは？」
『あ...信介泊めてや』
北「そう言うと思うたわ」
治「俺の家もええっすよ」
『ほんまに！？じゃあ信介と治の家交互やな！』
3人で歩いていると目の前から男女4人組がパタパタと走ってくる。
男「あ、あの！」
その声に3人は足を止める。
男女の手元にはペン。
北と治はすぐに察して一ノ瀬の方を見る。
男「バレーボールの一ノ瀬選手ですよね！？ファンです！」
『ほんまにー？ありがとうな』
女「あの...サインとかもらえますか...？」
『ええよ。どこに書けばええ？』
女「ここにお願いします！」
女性はスマホケースを差し出す。
一ノ瀬はそれを受け取りキュポッとペンのフタを取る。
『名前は？』
女「優実です」
『んッ、優実ちゃんな』
一ノ瀬はサラサラと名前を書いていく。
『転売すんなよ〜』
女「はい！大切にします！」
女性は嬉しさのあまりボロボロ泣いている。
その後も他3人にサインを書き治、北の方へ戻ってくる。
治「むっちゃ神対応やん」
北「大人になったなぁ。ほんま人生で1番感動したわ」
『これでSNSのトレンドは一ノ瀬神対応やな』
治「うわ。下心しかなかった」
北「根っこの部分は変わってなくて安心したわ」
『あーー！！腹減った！』
マイペースな一ノ瀬に治と北は目を合わせて思わず笑う。
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作者名：みる | 作成日時：2023年6月14日 22時
