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≪ただいまより西東京大会2回戦。青道高校対米門西高校の試合を始めます≫
椎名はムッとした表情でマウンドを見ている。
そんな彼の元に御幸は近付き肩をぐっと寄せる。
御幸「んな顔すんなよ」
『いつも通りだしぃ〜』
御幸「お前はこれから先嫌って程投げるんだ」
『...うん』
御幸「ここは経験値の低い後輩を見守ってやれ」
『わぁってるよ』
昨日のミーティングで椎名の登板は恐らくないと片岡から言葉があった。
初戦で躓くようなチームじゃない。
ただ試合はいつ何が起こるかわからない。
信じてないわけではないが、椎名は少し不服そうな顔をしている。
クリス「千弘のやつ、投げたそうですね」
片岡「これから先の事を考えると今はまだ肩を休ませておきたい」
クリス「ですね」
クリスはフッと笑いながら椎名の方を見る。
御幸「おい。降谷。一応キャッチボールしておくぞ」
沢村「お、俺もしといた方がいいっすかね？」
御幸「なんで？」
沢村「...ぐッ」
『....おい』
沢村「え？」
『キャッチボール相手してやるよ』
椎名の言葉にその場に居る全員が思わず振り返る。
『試合出るかもしれねーだろ？』
沢村「いいんすか！？」
『ここでダメっていう方がやばいだろ』
椎名はケタケタ笑っている。
クリス「千弘」
『大丈夫っすよ！軽くなんで』
クリス「わかっているならいい」
御幸「(...あいつ)」
沢村は嬉しそうな顔で椎名についていく。
そして2人で軽くキャッチボールを始める。
『なぁ、沢村』
沢村「なんすか？」
『俺の予想だけどこの試合お前でるよ』
沢村「え！？それは本当ですか！？」
『予想って言ってんだろバーカ』
沢村「ぐッ！」
『....お前上手くなってるよ』
椎名はそう言いながらシュッと沢村にボールを投げる。
沢村はパチっと目を見開き椎名を見つめる。
『頑張ってるし。俺はそういうやつ嫌いじゃないよ』
沢村「椎名先輩...」
『まぁ、クソ生意気だけど』
沢村「うッ...」
『お前なら大丈夫だから落ち着いて投げろよ』
4回裏 15-0で青道がリード。
片岡「沢村。準備は出来てるんだろ」
沢村「は...はい！」
クリス「沢村はどうだ？」
『デビュー戦ですからね。でもきっと大丈夫っすよ』
椎名は笑いながら沢村の背中を見つめる。
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作者名：みる | 作成日時：2023年4月29日 17時
